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カリフォルニアの山々は春、あざやかな新緑に包まれる。

春、カリフォルニアの山々はあざやかなグリーンに色づく。この3月、ナパとソノマを訪れた筆者は、なだらかなブドウ畑が続く小高い丘上のワイナリーを訪れた際、その美しい眺望をカメラに収めんとクルマを降りた。と、吹いてきた風がどこか焦げくさい。ふと足元を見れば真っ黒に焦げた木々が燃え尽きて炭のようになっていた。

米国のみならず世界へ伝えられたカリフォルニアの山火事が起こったのは昨年10月のことだった。空気が乾燥し、風も強いカリフォルニアでは毎年のように山火事が起きているが、昨年は過去最大規模の火災が5カ所で同時発生し、東京都23区が丸々入る規模の土地が焼失したという。

ブドウ畑が広がるこのナパ・ソノマ一帯は世界的に名高いワインの産地としても知られており、「某ワイナリーのブドウ畑が全滅した」「焼けはしなかったがブドウの果実が灰をかぶってしまった」などの噂が日本にいるワイン愛好家たちの間でもかまびすしく伝えられた。

「幸いなことにボクのブドウ畑や醸造所には煙もこなかったし、直接的な被害はなかった。でも、今回の火災がニュースなどで大きく報道されたためにナパやソノマはすっかり燃え落ちた、と印象を受けた人が多いんだろうか。ワイナリーに来る観光客やワインを買いに来る顧客は昨年の7割ほど減。セールスとしては大きな打撃を受けました」と語るのはナパの南西部のワイナリーSilenus Wineryのジェネラル・マネージャー、スコット・メドウ氏。

実際、火災が起きた10月8日から延焼して広範囲に燃え広がった10月中旬にかけては、多くのワイナリーですでに大半のブドウの収穫を済ませており、ワインメイキングにおける実害を受けたワイナリーは少なかったと聞く。しかし、連日の報道にナパやソノマのワインがすっかり壊滅してしまったかのように思い込んでいる消費者も少なからずいるようだ。

多くのワイン生産者がナパ・ソノマに来る人が減少したと感じ、また実際にセールス減の打撃を被っている一方で、では彼らは意気消沈してしまったのかと聞かれたら、そうではない。「ワインの売上の一部を被災者に寄付」(フリーマン・ワイナリー)、「家をなくした季節労働者に施設を開放」(ケンゾー・エステート)、「被害を受けたワイナリーに醸造器具や人手を貸し出す」(Silenus Winery)など、生産者たちは手と手を携え、一丸となってこの山火事被害から立ち直ろうとしている。

イベントで500万ドルの復興金寄付

また、ソノマのファーム・レストラン・イン「シングル・スレッド」では過日、被災者支援のためのチャリティディナーが開催されていた。2016年にオープンして1年足らずでミシュラン2ツ星に輝き、世界中の食通から注目されている同店は、火災から1週間のクローズを余儀なくされた。オーナーシェフのカイル・コノートンさんは火災当日から300食ものトマトスープやラザニアを作ってコミュニティセンターやシェルターを回り、被災者の支援にまわったという。


左から「美山荘」の中東久人氏、「シングル・スレッド」のカイル・コノートン氏、「レフェルヴェソンス」の生江史伸氏。

このチャリティディナーには日本から「美山荘」の中東久人氏、「レフェルヴェソンス」の生江史伸シェフも参加。3人のスーパーシェフによるコラボレーション料理が供されたほか、「虎屋」や京懐石の「美濃吉」といった日本の老舗も協賛し、全11コースのディナーがひとり2500ドル(約27万円)以上の価格で販売された。

40名余りの席はあっという間に売り切れ、多くのゲストが2500ドル以上の価格で購入したため、このディナーイベントだけで500万ドル(約5.5億円)もの金額を復興基金に寄付することができたという。

文・撮影=秋山 都 取材協力=カリフォルニア観光局

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