それって本当に健康に良い? 「強い根拠」で日々の選択を覆す本

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エビデンスのレベルで見直すと、ぼくらが常識だと思っていることが次々に覆されてしまうのが面白い。たとえば「日本食は体に良い」という常識だ。実は日本食が本当に健康に良いと断言するにはエビデンスが弱いという。

たしかに欧米に比べ日本食は肉やバターは少ないが、一方で塩分や炭水化物の量ははるかに多い。国別の塩分摂取量をみると、日本人はハンバーガーやピザの大好きなアメリカ人よりも摂取量が多いという事実には驚かされた。

日本食は健康に良いという漠然としたイメージがあるが、よくよく内容を吟味すると、改善した方がいい点もあるのだ。本書を読めば、ただ習慣で毎日のように味噌汁を飲んだり漬物を食べたりすることに疑問がわくはずである。

この他にも、以下のような“常識のように思われていること”についてあなたの見方がきっと変わるだろう。

「炭水化物は健康に悪く、食べると太る」
「βカロテンやリコピンは健康に良い」
「果汁100%のフルーツジュースは健康に良い」
「オーガニック食材は健康に良い」
「グルテンフリーは健康に良い」

何を食べて、何を食べないか。食事は日常のささやかな選択だ。その積み重ねが体を作り、命を育む。つまり毎日の小さな選択が、私たちを病気から遠ざけたり、近づけたりしているのだ。

ところがどうだろう。日本ではあまりにもいい加減な健康情報がはびこっている。「○○さえ食べていれば健康になれる」とうたうテレビ番組や健康本、医学的な根拠がないにもかかわらずどんどんシェアされていくツイート、悪質なデマを掲載するサイト……。

もしかしたら知らず知らずのうちにそうした情報に影響され、病気に近づくような選択をしてしまっているかもしれない。何十年後かに健康を害して初めてそのことに気がつくのでは、あまりに不幸ではないかと著者は述べる。だからこそ現時点で判明している最良の科学的根拠をまとめて提示しようと考えたのだという。

ちなみに著者は本書の中で、メタアナリシスで導き出された「本当に健康に良い食品」を5つ挙げているが、それは読んでのお楽しみだ。

本書を読めば、健康食品やサプリの宣伝に惑わされることはなくなるだろう。そんなものを買うのはもうやめにして、まずは良質な本物のオリーブオイルでも探しに出かけてみてはどうだろうか。

毎日の食事の積み重ねで、一歩ずつ病気から遠ざかっていく。そんな生活を、ぼくはもう始めている。

読んだら読みたくなる書評連載「本は自己投資!」
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文=首藤淳哉

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