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世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

marekuliasz / shutterstock.com

「時空を超える、自分を超える 異次元のワークスタイル」と題して“働き方”を特集したフォーブス ジャパン5月号(3月24日発売)。世界中で働く意義が問われているいま、『モチベーション3.0』の出版から7年、著者のダニエル・ピンクは何を思うのか。HRスペシャリストの麻野耕司が尋ねた。


麻野:人々の働きがい、モチベーションの源泉が変わってきている。昔は「給料」や「昇進」といった金銭報酬と地位報酬のために働いたが、今はそれだけではない。多くの先進国が物質的に豊かになった結果、人々は「仕事のやりがい」や「自己成長」「同僚とのつながり」など精神的な豊かさ、意味報酬を求めるようになった。2010年に出版された『モチベーション3.0』はまさに、モチベーションの源泉の変化について言及されていたが、改めてモチベーションの源泉について変化があれば伺いたい。

ピンク:『モチベーション3.0』では、「これをしたら これが貰える」という「If Then式」の成功報酬的な動機付けについて言及した。この動機付けはシンプルなタスクやルーティンワークをこなす際には機能したものだった。しかし、新しい発想やクリエイティブが要求される仕事においては効果的でない。「If Then式」の動機付けは極めて20世紀的で、今の時代には全くといっていいほどマッチしない。21世紀における、モチベーションの源泉を見出す必要があるだろう。

麻野:ピンク氏が考える、「21世紀型のモチベーションの源泉」とは一体、何か。改めて教えていただけないだろうか。

ピンク:具体的には3つのコンセプトがある。1つ目は「自律性(Autonomy)」、これは何をやるか、いつやるかなど仕事に対するコントロール。2つ目は「熟達(Mastery)」、これは上達している感覚。3つ目は「目的(Purpose)」、これは自分にとっての仕事の意義。クリエイティブが要求される、21世紀の仕事では「自律性」「熟達」「目的」が動機付けの要因として機能し、モチベーションの源泉になると考えている。

麻野:AI(人工知能)によって、今後、ルーティンワークは機械に代替されていき、人間にはより高度で創造的な仕事が求められるようになる。そうした時代には、より一層、意味報酬の重要度が増していくだろう。ピンク氏は、人それぞれ異なるモチベーションの源泉を見つけるべきである、と述べているが、自分にとっての「モチベーション3.0」はどうしたら見つけられるだろうか。

ピンク:それは非常に難易度が高いことだ。最初に見つかったものが生涯を通じて、自分自身の「モチベーション3.0」になるかと言われれば、それは違う。人生を通じて、自らに問い続けるべきテーマだ。

麻野:どこの企業でも、知識の獲得についての教育は熱心だが、人生100年時代において、知識はやがて陳腐化していく可能性が高い。生涯にわたって競争優位となる自身のモチベーションの高め方については、あまり教えてはくれない。ただ、一人ひとりが、自ら身につけていく必要があると思っている。ちなみに、モチベーションの源泉の変化や多様化は、個人の働き方や企業のあり方にどのような変化をもたらしているのだろうか。

文=伊勢真穂 通訳=川本麻衣子 イラストレーション=山崎正夫

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