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テックジャーナリスト

加藤順彦(左)、深田洋輔(右)

深田洋輔が2012年10月にシンガポールで創業したYOYOホールディングスは、アンドロイド携帯のロック画面上にニュースなどの情報に加えて各種広告を掲載することで、プリペイド携帯電話の通信料金を無料化できるリワード広告アプリ「PopSlide」を提供。同アプリをフィリピン・インドネシア・ベトナム・インドで展開、15年12月に100万ユーザーを超えた。

シンガポール在住のエンジェル投資家・加藤順彦は、創業時に投資を実行した。


加藤:深田さんとはじめて会ったのは2012年7月。投資先であるオンライン英会話会社ラングリッチ(米イングリッシュセントラルが買収)の拠点がフィリピン・セブ島にあり、同社創業者に紹介されて当時インターン生だった深田さんの事業案を聞きました。

ただ、その後、2時間ダメ出しを(笑)。僕の投資方針は第一にお金が儲かること。第二に事業を通じて誰が幸せになるかが明らかなこと。この順序が逆ではいけないと考えています。まさに“ロマンと算盤の両立”。最初のプレゼンではそれができておらず「興味ないよ」と。

深田:私は、起業の根底に、ビジネスやテクノロジーを通じて貧困問題を解決したい、社会課題解決に現地で取り組みたい、という思いがあります。そのため、新卒入社したDeNAを3年強で退職し、結婚直後でしたが、まずセブ島へ渡りました。

加藤さんへの最初のプレゼンは、その思いと日本で考えていたアイデアによる事業案で行いました。いま思い返すと、それはそうだろうなと(笑)。その反省から、現地消費者の声を徹底的に聞き、儲かる事業案の“根っこ”を作り、2回目のチャンスでは必死にプレゼンを。最後に、加藤さんから一言「面白い」と言われた時は嬉しかったですね。

加藤:僕は、投資先とは、社長としかコミュニケーションしないと決めています。なぜなら、「経営者が全て」だから。スタートアップの多くは、小さな失敗を繰り返します。それは問題ありません。ただ、試行錯誤する中で、事業を通じて課題解決をするという経営者としての“心の軸足”や“目線の高さ”が、自己認識なくずれてしまう人がいる。それを起業家の味方となって気付かせることが投資家の役割だと思っています。

深田:当社は創業からピボット(事業の転換)を繰り返した末、「PopSlide」に行き着いています。その中で、常に「経営者としてどうするのか」を問われたことが支えになりました。加藤さんは学生時代から経営に携わってきた、経営者であり、事業家。常に、経営者目線での問いをいただき、エンジェル投資家というより、共同経営者と呼べる存在です。

加藤:深田さんには、グローバルで活躍する起業家になってほしい。僕は海外市場に挑戦する日本人にしか投資しないと決めています。僕は後に続く日本の若者が「あの人の背中を追いたい」と思うような起業家を増やしたい。僕らの世代は松下幸之助、盛田昭夫、本田宗一郎らレジェンドの話に接して、走り続けてきましたから。

深田:加藤さんは海外で大きく成長することで故郷に貢献する「ウミガメ論」のもと、投資活動をされてきました。多産多死となっても1000に3つは残るだろうという考えに接する中で、まず僕自身が成功のロールモデルになろうと。20代後半まで海外旅行経験しかなかった僕でも、東南アジアでビジネスを立ち上げて形にした存在となれば、「あいつにできたなら俺も」となるでしょう。“金銭的なリターン以上の恩返し”ができたらと思っています。


加藤順彦(かとう・よりひこ)◎LENSMODE PTE, LTD/個人投資家 。1967年生。関西学院大学在学中にリョーマ、ダイヤルキューネットワークの設立に参画。92年、日広(現GMO NIKKO)を創業。2008年、同社のGMOインターネットグループ入りに伴い退任、シンガポールへ移住。主な投資先は、KAMARQ、AGRIBUDDY、VoiStock、HAKOVO、ビットバンクなど。

深田洋輔(ふかだ・ようすけ)◎YOYOホールディングスCEO。2009年、ディー・エヌ・エー入社。12年夏に退職、単身フィリピンへ渡った後、同年10月にYOYOホールディングスをシンガポールで創業。アジア最大のスタートアップ・カンファレンス「Echelon 2014」フィリピン・サテライト優勝。「新経済サミット2015」のピッチコンテストにて優勝。

文=土橋克寿 写真=平岩 享

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