「化粧品の動物実験」を廃止せよ、ザ・ボディショップの挑戦

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化粧品が洗面所やコスメポーチにやってくるまでには、たくさんのステップがある。企画から商品開発、パッケージデザイン、マーケティングに至るまで、多くのことをしなければいけない。そして、そのプロセスには動物実験も含まれる。

研究によれば、動物実験では化粧品に対する人間の反応の40〜60%しか正確に予測できない。それに、非効率的なだけでなく、コストも高い。だが、世界の80%の国々には、化粧品開発における動物実験を禁止する法律がない。

英国発祥のコスメブランド、ザ・ボディショップは「Forever Against Animal Testing」というキャンペーンによってこの状況を変えようとしている。2017年6月から始まったキャンペーンには410万の署名が集まっており、史上最大規模にになっている。動物実験廃止運動を率いるNPO団体クルーエルティフリー インターナショナル(Cruelty Free International、CFI)とともに行うこのキャンペーンで同社は、目標にする800万の署名を集め、動物実験を禁止するための国際会議を開くよう国連に嘆願書を提出する予定だ。

「2年前、わたしたちは6つの国で顧客にインタビューを行い、どんな問題を気にしているかを尋ねました。そこで、ザ・ボディショップのユーザーが最も気にかけているテーマが動物実験であることがわかりました。わたしたちが最初にこの問題に対するキャンペーンを行ったブランドであることを考えれば、筋の通った結果です」。同社のグローバルキャンペーン部門を率いるジェシー・マクネイル・ブラウンは言う。

「しかし、わたしたちは顧客がクルエルティフリー(商品をつくるために動物を傷付けたり殺したりしていないこと)を求める傾向と、世界80%の政府が動物実験を禁止する法律をもたないことの間に大きな断絶があると感じました」

「このキャンペーンを通して、『わたしたちにできることがある』と思うことができます。前回2013年に行ったキャンペーンの結果、EUでは動物実験が禁止になりました。世界で最も大きな化粧品市場のひとつがクルエルティフリーになること、そして、動物実験なしでもイノベーションを起こし、成長を続けられることを示したのです」

ニューヨークのアニマルプロテスト

キャンペーンに対する理解と支持を広めるために、ザ・ボディショップとCFIは1月23日、ニューヨークにある国連本部の前で世界初となる「アニマルプロテスト」を行った。抗議にはサインをつけた8匹の犬が参加し、ペットフォトグラファーのエリアス・フリードマン、ドッグインフルエンサーの@louboutinanyc(別名 NYCのハグするゴールデンレトリバー)も加わった。

「多くの人々にとって、実験室のラットやほかの動物よりも、犬に対してのほうが共感しやすいでしょう。だから犬たちにキャンペーンに参加してもらうことによって、メッセージはより影響力を増すのです」とフリードマンは言う。

「ぼくたちは、動物が声をあげることを助けているのです。Forever Against Animal Testingキャンペーンは、とても重要なものであり、同時に求めていることはシンプルです。化粧品の商品をテストするために動物を使う必要はありません。化粧品会社は、人道的なほかの選択肢を選ぶべきなのです」

ザ・ボディショップとCFIは、動物実験に反対するすべての企業にキャンペーンをサポートするよう呼びかけている。彼らは1月下旬には国連の担当者とも面会した。

「われわれの情熱的なチームは、世界中で残酷なテストに晒されている多くの動物たちのために大きな前進を果たしましたが、それでもまだまだすべきことはたくさんあります」と、CFIのミシェル・スーCEOは言う。「われわれは動物実験を禁止させるために絶え間なく政治家たちにロビー活動を行い、規制官を説得し、企業も啓蒙していきます」
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翻訳・編集=宮本裕人

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