ビジネス

2018.01.19

AIでファッションを変える、IBMと大手ブランドの取り組み

トミー・ヒルフィガー(Photo by Antonio de Moraes Barros Filho/FilmMagic,)

ファッションのパーソナライゼーションを求める若者がかつてないほど増えている。IBMの調査によると、Z世代の女性の52%が「商品をカスタマイズできるツールが欲しい」と答えている。

それと同時に商品が発売されるまでのスピードも求められている。一部のファストファッションでは数週間で商品を店頭に並べられるが、一般的には半年から1年の期間がかかるのが現状だ。

ファッションアイテムをより早く店頭に並べるためにテクノロジーが導入されつつある。ディープラーニングを駆使できるAIにトレンドを予測させ、デザインの初期段階からニッチな商品の需要予測にまで役立てるのだ。

それを実際に行っているのが、IBMとトミー・ヒルフィガー、ニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)のInfor Design and Tech Labによるプロジェクト「Reimagine Retail」だ。「これはAIの導入で商品開発のスピードを速め、デザイナーがデザインにおいて新たなスキルを発揮するための取り組みだ」と、IBM Global Consumer IndustriesのSteve Laughlinは説明する。

FITの学生が利用したのは、ファッションのデータを学習したIBMのAIのコンピュータビジョンと自然言語理解、ディープラーニングの機能だ。

これらのツールには、トミー・ヒルフィガーの1万5000の商品画像、一般に入手できる60万のランウェイの画像、そして10万件近い模様や型紙などのパターンを学習させた。そして重要なシルエットや色、奇抜な模様や型紙なども学習させ、学生がデザインのインスピレーションを得るのに役立てた。

「機械学習によって、人間の考え方では理解できないようなトミー・ヒルフィガーの配色やシルエット、模様を理解することができた。それにより学生たちは人気のファッショントレンドを、トミー・ヒルフィガーの“DNA”と融合させ、新たなデザインコンセプトを生み出すことができた」とInfor Design and Tech LabのエグゼクティブディレクターMichael Ferraroは語る。

「SNSや音声認識がよりパーソナライズされたショッピングに与える影響も模索した。そうすることにより、無駄をなくして環境への影響を最小限にとどめるインタラクティブな“スマート”サプライチェーンも実現できる」
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編集=上田裕資

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