ビジネス

2018.01.19 08:30

AIでファッションを変える、IBMと大手ブランドの取り組み


新作の発売サイクルをAIで爆速化

さらに顧客のSNSアカウントから読み取れる感情をほぼリアルタイムで分析するIBMのワトソンのTone Analyzerも活用したという。トミー・ヒルフィガーのブランド責任者Avery BakerはIBMのブログで「若きデザイナーたちは、ファッションとテクノロジー、そしてサイエンスを組み合わせることにより、その精神を具現化している」とした。

仮にAIが新たなコレクションを創り出すのであれば、デザイナーは要らないのではないかという議論もある。しかし、「今回のプロジェクトでは、人間の思考過程を拡張するためにAIを活用した」とFerraroとLaughlinは述べた。

IBMは以前、オーストラリアのデザイナーJason Grechと組み、メルボルン・ファッションウィークでコグニティブ・クチュール・コレクションを発表している。この時もデザインの過程においてデータに基づいた形で情報を提供するために何千ものランウェイの画像やSNSのコンテンツを分析した。

トレンド予測を活用して商品をより早く売り出すことは損失を減らすことにつながるとLaughlinは強調する。「消費者が欲しいと思うアイテムが店頭やオンラインですぐに手に入らない状況では、商品が売れることはない」と彼は説明する。

「スピード感のないファッション企業は、急速に発展を遂げている消費者の期待やトレンド、需要についていくことができていない。AIをファッションに取り込むことによって、デザイナーはあらゆるデータからインサイトを得て、より情報に裏付けられニーズに合ったデザインを生み出すことができる」

今回のプロジェクトから生まれた6つのデザインのうち3つのサンプルが、ニューヨークで開催される全米小売業協会(NRF)の「リテールズ・ビッグショー(Retail’s BIG Show)」で発表される。

編集=上田裕資

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