今年は例年になく大学や教育関係の話題が多い。昨年暮れから報道されていた文部科学省の違法天下り(再就職)斡旋疑惑から、1月に文科省前川喜平事務次官が引責辞任。違法天下り問題の調査が開始され、3月に最終報告(『文部科学省における再就職等問題に係る調査報告(最終まとめ)』2017年3月30日)が発表された。
違法事案は10年から16年で計62件、処分者は43名にのぼった。この報告書を読むと、本省やOBを通じての斡旋で国公立大学、私立大学、さまざまな財団に多くの天下りがおこなわれていたことが詳細に書かれている。その幅広い天下り先のリストには、驚くばかりである。
つぎは、2月に報道が開始された、森友学園問題であるが、これは大学ではないので省略する。さらに、3月に加計学園問題がもちあがった。今治市は四国には獣医学部がないことから鳥インフルエンザ問題が起きたときなどに対応に不安が残ることなどを理由に、獣医学部の新設をかねてから働きかけてきた。獣医学部は、ここ52年間新設が認められてこなかったことから、特区制度の利用を申請、16年9月に認められていた。
11月には国家戦略特区の諮問会議で獣医学部の新設が認められ、今年1月、今治市が事業者を公募したところ、加計学園だけが名乗りを上げ、今治市で新設する方針が決まったという。手続き的には、瑕疵がないようにみえる。問題とされたのは、加計学園の加計孝太郎理事長が、安倍総理大臣と旧友であること、そして、内閣府から文科省に認可を急ぐように圧力があったのではないかということ。安倍総理の意向を官僚が「忖度」したのかどうかが、与野党攻防の、政治の焦点となっている。
一連の問題についての、私の感想は、世間での関心とは、すこし異なる。天下り問題についてのマスコミの論調は、違法な天下りはいけない、いかにしてOBを使って規制をすり抜けたか、が焦点になっていた。しかし、違法でも合法でも、文科省職員(現役、OBを問わず)が、自らが規制する業種である大学の理事や教授として再就職すること自体が問題ではないか。
1月25日に、日本維新の会の片山虎之助共同代表が、憲法を改正して幼児期から大学までの教育の無償化を盛り込むべきだと、参議院の代表質問で訴えたのに対して安倍総理は前向きな姿勢を示した、といわれている。維新の会としては、安倍総理が目指す9条の変更という憲法改正に、大学無償化を付け加えれば、憲法改正を支持するという姿勢をみせて、安倍総理もそれに乗ったということなのだろうか。