10月4日、米カリフォルニア州本拠のSonosは199ドルの新製品「Sonos One」を発表した。この製品は発売時点でアマゾンのアレクサに対応し、来年までにグーグルアシスタントにも対応する。複数の音声アシスタントが使える製品は前代未聞だ。
Sonosは今後、市場にある全ての音声アシスタントに対応しようとしており、仮にアップルがSiriをサードパーティ向けに公開するとしたら、Siriにも対応させたい構えだ。Sonos Oneは現在、予約販売中で10月24日の出荷を予定している。
SonosのCEOのPatrick Spenceによると、今回の複数音声アシスタント連携が実現したのは、大手各社の信頼を得られたからだという。Sonosは彼らを脅かす独自の音声アシスタントを開発する意思を持たない。競走が激化するこの市場でSonosの立ち位置は、永世中立国のスイスに例えられる。
「当社はストリーミング市場においても同様な試みを行ってきた」とSpenceはインタビューで述べた。「Sonosは各社のサービスを尊重しつつ、サウンドプラットフォームに専念していることを、外部企業に理解してもらっている」
Spenceによると、ストリーミング市場が立ちあがった当初、究極的には1社か2社のみのサービスが生き残ると予測されていたという。しかし、Sonosはあらゆるストリーミングに対応する試みを進めた結果、現在では80以上のサービスに対応している。
音声アシスタント市場のプレイヤーは現時点ではまだ限られているが、Spenceは今後数年で、各社から多種多様なアシスタントが登場すると予測する。音楽の検索に特化したものや、クイズに特化したものが登場する可能性もある。Sonosはそれら全てに対応したい考えだ。
しかし、アマゾンやグーグルと連携するにあたっては課題も多いという。Sonosでアレクサを経由して利用可能なストリーミングは、立ち上げ時にはアマゾンミュージックやiHeartRadio、パンドラ、SiriusXMとTuneInのみとなっている。Sonos Oneでは発売からしばらく経った後に、スポティファイの利用も可能になる。
2002年設立のSonosは、2015年には売上10億ドルに迫る勢いだった。しかし、Amazon Echoが市場に投入されると売上は伸び悩んだ。2016年には何度かのリストラも進め、ストリーミングや音声アシスタント対応に注力を開始した。そして2017年、業績は再び上向き、今年はようやく売上10億ドルを達成できる見込みだという。
Sonosは今年、テレビ向け高級スピーカーのPlaybase TVを699ドルで発売しており、その売上も好調だというが、「Amazon EchoやGoogle Homeの登場により、思わぬ形でスピーカー市場が活性化している」とSpenceは述べた。
ただし、各社が高品質なスピーカー開発を進めるなかで、今後の見通しは不透明だ。10月4日、グーグルはハイエンドモデルのAIスピーカー「Google Home Max」を399ドルで12月に発売すると発表した。アップルもまた、ハイエンドのSiri対応スピーカー「HomePod」を12月にリリースする。
Sonosは競走が激化する市場に、生き残りをかけて飛び込んでいった形だ。「厳しい環境ではあったが、当社は独自の音声アシスタント無しでも、これまで生き抜いてこれた」とSpenceは話した。