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2017.06.24 11:00

吉本興業がご当地商品を「主婦目線」で売る理由

福島シュフランの認定式

福島シュフランの認定式

エンターテイメントの老舗企業、吉本興業が、全国のご当地商品を「よしもと47シュフラン」と名付け、消費者に売り込んでいる。フランスの三つ星評価付きガイドブック「ミシュラン」とちょっと違うところは、それを「主婦(シュフ)」が選んでいることだ。
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同社が2015年から始めた47シュフランは、全国47都道府県の主婦7000人が、「人にオススメしたい!」と選んだ地域の名産品を、よしもとの「お笑い」の力で消費者に売り込む地域活性化プロジェクト。お笑い芸人が商品をSNSでPRし、ネット通販のアマゾンや、特設サイト、直営ショップ、ライブ会場で販売している。

4月には地域密着型の特別企画として「福島シュフラン」を立ち上げ、同県の主婦160人がコメや漬物、お菓子、地酒など250点を推薦。東京・上野の松坂屋で、推薦品の試食選考会を開き、来客の主婦らから9000票近くの評価を集め、159点を認定品として絞り込んだ。同時に開催した即売会では、県民のソウルフード「いかにんじん」や、相馬市で生産されたお菓子「バター最中」が、あっという間になくなるなど賑わいをみせたという。

6月2日に東京・新宿の「ルミネtheよしもと」で行われた認定式では、吉本興業の物産エグゼクティブ・プロデューサーの内田勝規が、よしもと47シュフランの企画の意図をこう説明した。
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「以前に30年間百貨店に勤務し、物産を担当していましたが、百貨店の地域物産展というのは、どうしても知られている商品ばかりを集める。だからどこの百貨店に行っても同じような商品が出る。そこに矛盾を感じ、地域にはもっといろいろな“いいもの”があるのではないかと思い、よしもとシュフランを立ち上げました。百貨店のバイヤーの目線ではなく、地域の“いいもの”を知る主婦の目線で商品を集めたのです」

一方で内田は、「モノが売れるときには3つの要素がある」と言う。「いい商品、いい販売力、そしていい宣伝力。この3つ目の宣伝力を、よしもとのPR力でお手伝いをしていきたい」

ステージでは、サポーター芸人の三瓶や横澤夏子、福島県住みます芸人のぺんぎんナッツに続き、内堀雅雄・福島県知事、吉野正芳復興大臣が登壇。

福島県出身の三瓶は、松坂屋の試食選考会を振り返って「僕がいても、さほど人は増えず」と自虐的に語りながら、「でも、盛り上がっていましたね。地元に伝わる美味しいものを取り上げていただきありがたいです」と、好物の「いかにんじん」を手にして満足顔だった。

内堀知事は「よしもとシュフランによって風評を払拭できると確信している。こうやって福島の商品が注目され、生産者にとっては最高の励ましになる」と話した。
 
地域の主婦の声を拾い、生産者に光を当て、消費者の主婦を笑わせる。お笑いというエンターテイメントには、そんなことをする力があるのだ。本家ミシュランも顔負けかも。

文=北島英之

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