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大阪在住のフリーランスライター

台北の空港にて、報道陣に囲まれる渡辺直美(Photo by TPG/Getty Images)

日本からやってきた渡辺直美が登場すると、舞台に向けて一斉にストロボの光が放たれた─。

客席では台湾の公用語である中国語が飛び交っている。日本語を話す報道関係者も見かけるが、大半は台湾のメディアと、多くのフォロワーを持つブロガーをはじめとした現地のインフルエンサーたちだ。

この日は5月23日。台湾の気候はすでに蒸し暑く、会場は熱気に満ち、空調が稼働しているのに最前列のカメラマンの背中にシャツが張り付いていた。

台湾の台北市に、吉本興業のお笑いやアートなどのコンテンツを発信する拠点、「華山Laugh&Peace Factory」がオープンする。その記者発表が行われることを聞きつけた現地の報道関係者と、情報通のブロガーたちが詰めかけたのだった。

ブロガーたちにはメディアよりも前列の席が用意され、イスの背に貼られた紙には「VIP」の文字。台湾ではフェイスブックを使う割合が人口比で65%(2015年、アウンコンサルティング調べ)と世界一で、ブログの情報を重視する傾向があるという。ブロガーへの高待遇は、台湾ならではの状況に合わせ、ネットでの拡散を狙う吉本興業の戦略のひとつといえるだろう。

吉本興業が満を持してオープンした「華山Laugh&Peace Factory」。5月27日より行われている催しの第一弾に、渡辺直美をメインで取り上げた展示「渡辺直美展 Naomi’s Party in TAIPEI」を開催するのも、台湾で注目を集めるための戦略として理にかなっている。

渡辺直美は日本人の父親と、台湾人の母親を持つハーフである。中国語は得意ではないものの、幼いころから母親のつくった台湾料理を口にし、何度も行き来していたので台湾の文化に馴染みがある。さらに、言葉が通じなくても、全身を使ったダンスで人を楽しませることができる。

そうした彼女のキャラクターも現地で理解されはじめている。5月には大手飲料メーカー黒松汽水とコラボレーションした炭酸飲料のボトルが発売された。自身が登場するCMを、彼女がインスタグラムに投稿したところ、1週間で170万回以上再生され、多数の中国語のコメントがついている。

「渡辺直美展 Naomi’s party」は昨年、日本でも11箇所で実施された体験型の展示イベントだ。その台湾版となる今回の催しでは、日本ではなかった演出もほどこされていた。会場内には、壁がパステルカラーで塗られた部屋が複数ある。淡いブルーの部屋は、渡辺直美が主催するパーティー会場というテーマで、何脚も並んだテーブルには大盛りの食品サンプルが載っていた。中には台湾でポピュラーな小籠包や魯肉飯もある。

ベッドルームには、渡辺直美の全身写真と、彼女に似たぽっちゃり体型の見慣れないキャラクターが壁に並んで描かれている。台湾のイラストレーター、H.H先生が描くキャラクター、美美(メイメイ)だ。美美と渡辺直美のシェアルームというテーマで、ベッドルームがカラフルな2組の服や小物で飾り付けられている。

台湾のキャラクターとコラボレーションした部屋は現地のブロガーたちに人気だった。彼らはほとんどが少人数のグループで、壁のイラストの隣に並び、しきりにスマホで写真を撮っていた。

記者発表の後日、イベント初日には、オープン前から行列ができていた。当日は大雨が降ったにもかかわらず、広報担当者によると1000人の来場者があった。その後も毎日1000人ほどが訪れ、トータルで5万人という目標は今のところ達成できる見込みだ。

新たな文化が生まれる台湾の中心地

吉本興業が台湾でコンテンツを発信する拠点、「華山Laugh&Peace Factory」は周囲の環境にも恵まれている。日本統治時代の歴史ある建物群をリノベーションした「華山1914クリエイティブパーク」内にあり、趣のある路地や、開放的な芝生の広場などが同一の敷地に広がる。

広い芝生の前庭に足を踏み入れると、近くの幹線道路を行き交う原付バイクや車の騒音が急に遠ざかった。台北の雑多な街なかに位置しながら、ゆったりと落ち着いた雰囲気がある。

辺りではカップルが寝転び、近所に住んでいるらしいおばさんのグループが、奥のカフェ買ったコーヒーを飲みながら談笑していた。蔦で覆われた倉庫の前や路地では、結婚式の衣装で着飾った新郎新婦が何組も写真撮影を行っていた。日本や台湾各地からの観光客、家族連れもいて、さまざまな年齢層の人たちで平日でも賑わっている。

文=大迫知信

 

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