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2017.02.04

入国禁止が招く「貿易戦争」、米経済への影響は?

photo by Stephen Lam / gettyimages

ドナルド・トランプ米大統領によるイスラム圏7か国の市民の入国禁止措置は今後、米経済に打撃を与える。大統領とその顧問らは国民を欺き、この措置は自国の安全を守るためのものだと思い込ませている。

一部の国からの移民だけを認める選り好みと、入国希望者の生活を困難にすることは、米経済全体にどのような影響を及ぼすだろうか?

グローバルな市場で活動する米国の大企業は、海外から得る利益をますます増やしている。必要な場所に必要な人材を配置することを禁じられれば、これらの企業の生産性は低下することになる。

さらに、他国からの報復措置という問題もある。移住や貿易に関連した禁止措置の対象国はいずれも、自国での米国企業の活動を阻害することができる。米国製品に輸入税をかけることも、米国民の入国を禁じることもできるのだ。また、米国製のモノとサービスをボイコットすることもできる。

頭脳流出はより深刻

入国禁止が経済にもたらすもう一つの致命的な問題点は、テクノロジーをはじめとするさまざまな専門分野の最も優秀な人材が米国から締め出されることだ。シリコンバレーのリーダーたちの多くがすでに、優れた人材を採用・確保する自社の能力が損なわれるとして、トランプに対する激しい非難の声を上げている。

アマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は、大統領令の差し止めを求めて提訴したワシントン州を支持する考えを明らかにしている。また、フォードのマーク・フィールズCEOとビル・フォード会長も、民主党所属の多数の上院議員ら、共和党のジョン・マケイン、リンジー・グラハム両議員などと共に、入国禁止に反対する考えを明確にしている。
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編集 = 木内涼子

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