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2017.01.27 17:00

日本の「ウェルネス」を牽引するリーダーは誰だ?


公共性部門>
医療法人社団 悠翔会


勤務医時代は、「治すことが医療」だと考えていた。「でも、『治す』のではなく『生活を楽しみ、社会に参加するのを支える医療』も必要なのです」。

そう気付いたのは、大学院時代のアルバイトで在宅医療を体験した時だったという。病気や障害と「共存」し、最後まで幸せに暮らせる社会を作りたい。佐々木淳医師はそんな思いで「悠翔会」を立ち上げた。

現在は東京を中心に、10クリニック、常勤医師33人、非常勤医師43人の体制で、3,000人の患者を定期的に訪問。各医師が担当患者を総合的に診療し、持病をはじめ健康状態の悪化の予防、健康的に過ごすための生活指導も行う。

一方で、夜専門の救急診療部も設置。在宅医療にかかわる地域の診療所の夜間救急対応をサポートする機能も引き受ける。診療対象は5,000人に上る。

高齢化が進む日本で今後、在宅医療の需要はさらに増えていくだろう。だが本来なら、地域の診療所がその役割を果たせるのが理想だ。在宅医療を行うには24時間対応が求められるが、夜間の部分を悠翔会が補うことでそれが実現しやすくなればいい。佐々木の挑戦は、まだまだ続きそうだ。

ささき・じゅん◎三井記念病院、東大大学院医学系研究科を経て、2006年に現在の「悠翔会」を設立。24時間ケアをモットーに、最初の5年間は一人で深夜の救急診療を続けた。

健康サポート企業 海外部門
Apple Inc.

AppleはiPhone、Apple Watchなどでヘルスケア・アプリケーションを提供している。健康関連のアプリを通してユーザーの健康データを集約し、日々のアクティビティやマインドフルネス、栄養、睡眠を活用できるようにした。

また、ResearchKitで作られたアプリは、医学的な見識や発見を生み出すことにも貢献。医学分野における研究者にも新たなプラットフォームを提供している。

一方、2016年8月には個人の健康情報を管理・共有する技術やサービスを手がける米国のスタートアップGlimpseを買収。同社の技術をAppleのヘルスケア関連ソフトウェアのフレームワークに活用し、サービスを展開していくと見られている。


ウェルネス 経営部門
日本交通

運輸業界にとって、ドライバーの健康は切実な課題。安全に直結するからだ。日本交通は2015年度からハイヤー部門、タクシー部門それぞれにCWO(最高健康責任者)を置き、乗務員はじめ従業員の健康管理に力を入れている。

初年度はアプリを通して適度な運動、健康的な食事の方法、睡眠のとり方について管理、指導をテスト的に実施した。参加者ほぼ全員が、健康に関する知識を身に付け、同時にダイエットに成功するなど成果を上げた。アプリによる健康管理は、16年度も対象者を増やして継続している。また、全ドライバーを対象に睡眠時無呼吸症候群の検査を行い、早期発見および治療にも積極的に取り組んでいる。
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文・編集 = Forbes JAPAN 編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.30 2017年1月号(2016/11/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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