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2017.01.27 17:00

日本の「ウェルネス」を牽引するリーダーは誰だ?

アスロニア代表 スポーツナビゲーター 白戸太郎/1966年、京都府生まれ。91年にプロのトライアスリートとなり、ワールドカップシリーズで世界を転戦。スポーツナビゲーターとしてテレビのスポーツ番組などに出演しながら、2008年の株式会社アスロニア設立後も競技を続けている。

アスロニア代表 スポーツナビゲーター 白戸太郎/1966年、京都府生まれ。91年にプロのトライアスリートとなり、ワールドカップシリーズで世界を転戦。スポーツナビゲーターとしてテレビのスポーツ番組などに出演しながら、2008年の株式会社アスロニア設立後も競技を続けている。

モバイルヘルステクノロジーベンチャーのFiNCとフォーブス ジャパンが2016年11月末、「Wellness AWARD of the Year 2016」を開催した。

今回が第1回となる本アワードは、健康の重要性を社会に向けて発信し、啓発することを目的としている。「健康」を切り口に、ロールモデルとなる個人や企業、自治体など幅広い分野から、7社・団体、4名の受賞者を選んだ。

個人健康部門の1位はプロスキーヤーの三浦雄一郎氏、経営者部門1位はローソン代表取締役会長CEOの玉塚元一氏。この記事ではその他9部門の受賞者・受賞企業と審査員を紹介する。

個人サポート部門
白戸太朗:アスロニア代表、スポーツナビゲーター

日本のトライアスロン人口は現在、約35万人。2000年代に入って、急速に普及したスポーツの1つだ。白戸氏はトライアスロンに挑戦してみたいという人々を、ショップ、スクール、イベントの3方向からサポートし、競技の普及に一役買ってきた。当初は経営者やエグゼクティブクラスのビジネスマンが多かったが、最近は一般のサラリーマンの中にも、始める人が増えている。

白戸氏は、学生時代の大部分をクロスカントリースキーの選手として過ごした。だがトレーニングの一貫として始めたトライアスロンでプロアスリートに。世界を転戦する中で、スポーツ、特にトライアスロンの素晴らしさをより多くの人に伝えていかなければと、スポーツナビゲーターとなり、現在の活動を始めた。

トライアスロンの素晴らしさは「どんな人でも努力しただけの成果を実感できること」。始めた人の多くが、トレーニングや大会への挑戦により、肉体的にも精神的にも自信をつけ、よりポジティブに、アクティブになっていく。しかもトライアスロンは、子供のころから水泳や自転車に親しんできた日本人には特に始めやすいスポーツなのだと白戸は話す。

「トライアスロンで、日本をもっと元気にしていけるのではないかと思うんです」

受賞理由:トップアスリートとしての活動を続けつつ、事業家として生涯スポーツの普及に努めている。アスリートのデュアルキャリアのロールモデルとなっている。(審査員:SHIHOKO URUSHI)

健康サポート企業 日本部門
大島博:宇宙航空研究開発機構(JAXA) 有人宇宙技術部門 宇宙医学生物学研究グループ 技術領域主幹 主幹研究開発員 医学博士


「宇宙医学は、宇宙飛行士の心と体のリスクをいかに軽減するか、個人とチームのパフォーマンスをいかに向上させるか、ということを目標に研究しています」

と、話すのはJAXAの宇宙医学生物学研究グループで宇宙医学を研究する大島博だ。実はこの宇宙医学、地上で暮らす私たちにも関係がある。

例えば地上で生活する高齢者の体は、骨量の減少が進む。これが骨粗鬆症を引き起こす。これに対し、重力がほとんどない宇宙空間で生活する宇宙飛行士の体では、地上の高齢者の10倍の速さで骨量の減少が起こる。研究の結果、宇宙での骨量減少は、骨粗鬆症の治療薬の応用と適切な運動、必要な栄養摂取によって予防可能だとわかった。

つまり宇宙飛行士の食生活や運動を、地上で暮らす高齢者に応用すれば、骨粗鬆症を減らし、転倒骨折、寝たきり化を防ぎ、健康寿命を延ばすことにもつながる。宇宙飛行士が行うトレーニングや対策のノウハウは、高齢者のために応用することができるのだ。

受賞理由:かつて、宇宙に出た飛行士の睡眠状態やホルモン動態を観察する機会から、予防医学の前進に大きく関係する考え方を得た。宇宙医学のさらなる発展に期待する。(HIDEYUKI NEGORO)

大島博◎2012年JAXA宇宙医学生物学研究室室長。ベッドレスト研究、スペースシャトル飛行時の医学研究、ISS滞在宇宙飛行士の骨量減少予防対策研究に参加。日本人宇宙飛行士の軌道上運動・帰還後リハビリテーションを担当。
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文・編集 = Forbes JAPAN 編集部

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