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世界37カ国、700万人が愛読する経済誌の日本版

(左)野村不動産 新規事業戦略部門・刈内一博(右)慶應義塾大学大学院特任教授・小杉俊哉 (photograph by Mizuaki Wakahara)

大企業の中からイノベーションを起こす人材として、イントラプレナー(社内起業家)に注目が集まっている。日本を代表するイントラプレナーを選び抜いて紹介する連載の初回は、野村不動産で、新規事業の戦略立案や事業創造を手掛ける刈内一博(38)。

休日に有識者・会社経営者・イントラプレナーらが参加する私塾を主宰するイントラプレナーの一人だ。経営の立場でイントラプレナーについて研究する慶應義塾大学大学院特任教授の小杉俊哉は、刈内が担う「ネットワークのくさび」の役割を持つ人材が、企業経営に新たな価値を生むと分析する。


小杉:刈内さんの主宰する私塾「イノゆる会」は、私も参加しましたが、実に多様な人が集まっていますね。どんな目的で始められたのでしょうか。

刈内:「イノゆる会」は、イノベーションに関する有識者や実践者が、知や経験を共有を通して、互いに活動を支援する私塾です。「中世ヨーロッパのサロン」のような場を模倣して、IoT、街づくり、シードアクセラレートプログラムなど、イノベーションに関するテーマを幅広く扱い、毎回テーマに沿う方を40人ほど厳選して、お声掛けしております。

小杉:実施される内容はもちろんのこと、社外ネットワーキング活動としても、優れていると思います。なぜ野村不動産という大企業に所属する立場で、このような活動を始めたのでしょうか。

刈内:イノベーションのアイデア段階では、目的や重要業績評価指標(KPI)が曖昧な状況下で、セレンディピティの高い“異分野ネットワークが交わる環境”が最適だと思います。一方で、現代的な会社の業務は目的やKPIが明確で効率性を追求するため、その矛盾を補う場が必要だと感じています。

小杉:刈内さんはネットワーク理論における「ネットワーク密度」をうまく使い分けています。普段の仕事を進める上では、チームワークのために、社内でお互いを知っている密度の高いネットワークの中でのコミュニケーションが必要です。しかし、新規事業に挑戦する際には、社内の人と話をしていてもアイデアはなかなか生まれません。

刈内:新事業創造の素となるアイデアリソースは、会社の会議室ではなく、イノベーションの現場に存在すると思っています。ここでいう現場とは、高い視座と情報感度を持ち、失敗や挫折と真摯に向き合いながら価値創造に想いを注ぐイノベーターたちです。

彼らとのネットワークキングは社内リソースに限りのあるベンチャー企業経営者には不可欠ですが、イントラプレナーにも必要なアントレプレナーシップの一つだと痛感しています。

小杉:刈内さんには、多様な分野の第一線にいる人材から知見を得ることのできる社外のネットワークがありますが、彼らはお互いに直接仕事上の関係はないため、ネットワーク密度の低い集団です。それゆえ広範に広がるネットワークは、立派な「事業創造のリソース」と言えます。では、ネットワークを築く上で、大切にしていることはありますか。

刈内:多くのビジネスは「Give&Take」で成立するからこそ、あえて「Give&Give」の精神を心掛けています。自らのTakeは求めず、相手に喜んでいただけそうなことだけを考えていると、自然と人や情報、機会が集まってくる。特に、知人の紹介は枯渇しないGiveなので、両者にとって良縁と思えば、積極的につなぐようにしています。

小杉俊哉=インタビュアー 山本隆太郎=構成

 

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