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2016.11.13 09:00

東京と地方、地域間格差を縮めるために必要なこと

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いづれんみかどんみよんごどだったんだべがにょうごこういっとふったひどだちがいっぱいつげでらったそんながさ……。原典には「いづれの御時にか女御更衣あまた候ひ給ひける中に」とある。源氏物語桐壷の書き出しだ。会津弁で現代訳すると冒頭のようになるという。

40年来の友人、長尾修一君は源氏物語の全巻会津弁訳をライフワークにして、福島県は大沼郡会津美里町に寓居を構えている。10年前に東京から草深い郷里に戻り、陶器を焼きながら日本の古典研究に没頭していた。

そんな彼を襲ったのがマグニチュード9.0の東日本大震災だった。この大震災による県内の死者はこれまでに3,893人、公共施設の被害報告額だけでも約6,000億円に及んだ。長尾君自身は難を免れたが、中通りの親戚たちが深刻な被害に遭った。なかでも甘い香り高さを誇った桃園は、いまだに立ち直れずにいる。他県産品の3割ほど安くしないと売れないのである。

福島県の経済はマクロの数字の上ではようやく回復してきた観がある。県内総生産は震災以前の水準に至り、震災の年に全国平均より15%余りも下回った一人当たり県民所得も、現在はほぼ全国平均の水準になっている。

だが、福島が厳しい状況に置かれていることに変わりはない。総人口は震災前の2010年から11万人も減少し、避難者数はようやく10万人を下回り始めたところである。

農業産出額は震災前より2割、林業産出額は3割、漁業生産額は5割以上も減っている。生産量もさることながら、風評被害が主因と思われる農産物の価格下落が痛い。桃を筆頭に、全国平均に比べて米も和牛も1割方低価格を強いられている。

製造業等の生産状況も、依然として震災前のレベルまで回復していない。震災前の年を100としてみた鉱工業生産指数はいまだ88にとどまっている。生産出荷額はほぼ震災前の水準まで回復してきたが、地域別にみると原発事故によって避難を強いられた双葉郡などは震災前のわずか1割の水準で呻吟している。有効求人倍率は全体では高水準にあるものの、専門技術・医療・介護等の分野で人手不足が顕著である。
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文=川村雄介

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