サムスンの中国事業はこの2年悪化が続き、Canalysによると、サムスンの中国でのシェアは2013年後半の21%から今年は8%まで落ちた。サムスンは中国の富裕層が好むような、アップルやファーウェイに対抗できるプレミアムフォンを投入できておらず、中価格帯の製品でもOPPOやシャオミのような現地勢の追い上げを受けている。
中国で売れ筋のサムスン端末は、3,000元(約4万5,000円)以下の製品に集中している。高解像度の曲面スクリーン、虹彩認証機能、そして急速充電バッテリーを持つ6,000元超のNote 7は中国の消費者を取り戻す切り札として、期待されていた。
Note 7は「火を噴くスマホ」として世界を騒がせているが、事態をさらに悪化させたのが、先週末から相次いで中国のSNSで拡散された焼け焦げたNote 7の画像だ。投稿者は「スマホが発火した」と主張し、サムスンのショップには返金を求める客も現れた。
リコール対応のまずさも露呈
それに対しサムスンは19日、「内部調査の結果、中国の事故は外部からの加熱が原因で、バッテリーが直接の原因ではないと」と短いコメントを出した。
サムスンは中国で7月20日から8月5日に販売したテスト用の1,858台のNote 7をリコールすると発表したが、それ以外の端末については「リコール対象端末とは違うサプライヤー(Amperex Technology)のバッテリーが使われており、問題ない」との姿勢を示した。
しかし、Canalysのニコル・ポンは「この問題はサムスンを“本当の危機”に追い込みつつある。皆、サムスンブランドに疑いを抱いている」と語り、バッテリーサプライヤーに関係なく全ての端末をリコールすべきだとの考えを示す。
中国での発火報告は、Note 7の潜在的な顧客をアップル、ファーウェイに流出させ、一部はOPPOにも流れるとの声もある。コンサル会社iiMediaの調査では、中国のサムスンユーザーの37%が次回はアップル製品を選ぶと答え、26%はファーウェイを買うと回答した。
中国でのサムスンのスマホの売り上げが落ち込むことは確実だ。Canalysのポンは、「販売ランキングでは8位まで下がるかもしれない。消費者の信頼を取り戻すには、フラッグシップモデルが2つは必要だろう」と述べた。