「火を噴くスマホ」 サムスンの悪夢はまだ終わらない

Galaxy Note 7 (Photo by Photomans / Shutterstock.com)

サムスンのGalaxy Note 7の爆発事故は、メーカーにとって悪夢そのものだ。売り上げ、ブランド力、消費者の信頼を粉砕する一撃となった。サムスンは迅速に対応したが、発火の恐れがある端末250万台がリコールされた後も、この問題は尾を引くだろう。

爆発の報告は日ごとに増え、中には不安を煽るだけの誤報もあった。ニューヨーク・ポストは6歳の少年がNote 7の爆発で火傷を負ったと報道したが、実際にはサムスンの別の端末だった。サムスン=爆発というイメージが、人の意識に刻み込まれていることを示す好例だろう。Note 7の実際の発火率は非常に小さいが、「火を噴くスマホ」というイメージは拭い去りがたい。

素人目にはGalaxy S7も危険

この問題は、ニューヨークの地下鉄から大学まで不安を広げている。特に航空業界の警戒は強く、世界の航空会社や航空当局がNote 7の持ち込みに注意を促す前から、ソーシャルメディアでは、Note 7の所有者が航空機のキャプテンに叱られたとか、フライトアテンダントにマークされた、隣の乗客に警戒されたなどの話が飛び交っていた。

リコールが完了し、“安全な”Note 7に交換されたとしても、問題はくすぶり続ける。悪評を払拭するのは簡単ではなく、リコール前のNote 7とリコール後のNote 7を見分けるのは不可能なため、人々は今後もNote7から爆発を連想するだろう。

厄介なのはNote 7の外観がサムスンのGalaxy S7に非常によく似ていることだ。筆者のようなテックライターはともかく、空港のセキュリティ担当者やフライトアテンダントが見分けられるかは疑わしい。S7の所有者も空港の安全検査でひっかかる可能性がある。

私は1月にロサンゼルスの自宅に飛行機で帰るが、リコール後の新しいNote 7であっても、持ち込むことはしない。面倒はごめんだ。

私は幸い複数のスマホを持っているからそれができるが、サムスンのGalaxyしか持っていない人は、周囲の目にどれくらい耐えられるのだろうか。

編集=上田裕資

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