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2016.09.15 08:00

新興国に投資してわかった海外不動産の「歪み」[マイナス金利時代の資産運用術 第4回]

建築ラッシュにわくフィリピン(photo by Dondi Tawatao / gettyimages)

建築ラッシュにわくフィリピン(photo by Dondi Tawatao / gettyimages)

私は数年前から複数の国の海外不動産に投資しています。先進国ではアメリカ、イギリス、そしてドイツ。新興国ではマレーシア、タイ、フィリピン、ベトナム、カンボジア、スリランカといった国々です。

金融資産と不動産のような実物資産を組み合わせる「ハイブリッド投資」を実践してみてわかったことは、新興国の不動産には経済が発展していくことに伴う「成長」による利益だけではなく、ミスプライスによる「歪み」からの収益があるということです。

例えば、3年前に投資したカンボジアでは、首都プノンペンの中心部に建設中のタワーマンションを購入しました。完成前の物件を購入するプレビルドと呼ばれるものでしたが、不思議だったのは、同じ間取りの部屋の価格が上層階にいってもほとんど変わらないことでした。9階でも最上階の27階でもほぼ同価格。迷わず、最上階を購入しました。

完成後に賃貸に出してみると、27階は1400ドルで満室になっているのにも関わらず、9階の家賃は1000ドル程度。物件価格は完成してしばらく経ってから、ようやく家賃を反映するようになりました。

このような価格の「歪み」が存在したのは、プノンペンにそれまで高層マンションが存在しないことから、高層階の価値が認知されていなかったからだと思います。

あるいは、タイのシラチャという街では、日本企業が大量進出してくる中、駐在員向けの物件が不足しており家賃が首都のバンコク並みに高騰していました。ところが現地のコンドミニアムの価格は、バンコクの半額程度。投資利回りで2倍近い水準になっていました。

今後供給が増えれば、家賃が徐々に低下していくことも考えられますが、需給がバランスして物件価格の「歪み」が解消されるまでには、数年の時間がかかりそうです。

ベトナムのホーチミンでは、2015年7月から外国人の不動産投資が解禁されましたが、まだ外国人投資家が本格的に参入してくる状態ではなく、割安な物件を探すことができます。

徐々に外国人投資家の投資実績が出てくれば、安心して海外からの投資が膨らむことが予想され、価格が上昇していくことが期待されます。現時点でもまだ他国と比べると割安な水準になっており、「歪み」からの収益を狙うことが可能です。
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文=内藤 忍

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