このように不動産の中でも特に新興国の不動産は、市場の効率性が低く「歪み」を見つけることが容易だと思います。ただし、取引コストは高く、流動性もあまり高くないので、投資対象を調査して吟味し、長期運用することによって超過リターンを得るのが得策だと言えます。
「歪み」を見つけるためには、実際に現地に行って物件を視察する必要があります。日本にいては、最新の現地の不動産投資事情はわからないからです。今、投資先として注目している新興国は、フィリピン、カンボジア、ベトナム、スリランカの4か国です。
今年の10月から年末にかけて、資産デザイン研究所では投資家を集めて少人数のスタディツアーを開催します。現地で投資家たちと合流して、情報交換をしながら、投資のヒントを探してみたいと思っています。
予定訪問先である、注目の4か国には、それぞれ次のような注目点があります。
-フィリピン
新大統領による政権が誕生し、経済は絶好調。今後も高い成長が期待される国です。首都マニラだけではなく、ダバオなどの地方都市にも「歪み」を見つけられる可能性があります。
-カンボジア
プノンペンの中心部だけではなく、周辺エリアへの開発が広がっています。割安な郊外の物件を、先手を打って購入すれば、長期で開発による利益を享受できるかもしれません。9月からは成田・プノンペン間の直行便も運航も始まり、来年に向けてカンボジアへの注目が高まっていくことが期待されます。
-ベトナム
1年前の規制緩和によって、海外からの資本の流入が始まっています。新しいコンドミニアムは売行きが良く、現地価格も上昇傾向。2020年にはホーチミンに地下鉄が開通する予定で、沿線の不動産価格の上昇も期待できます。
-スリランカ
コロンボでホテルプロジェクトが進められています。ホテルの一室を所有してホテルの貸し出し、稼働率に応じたリターンを受け取る仕組みです。コロンボのホテル需要は高いにも関わらずビジネスホテルの数が足りない状態で「歪み」が生じています。
スタディツアーのメリットは、1人で行くよりも大勢で行って多面的に投資対象を分析することで、自分では気が付かないポイントがわかることです。また、一緒に参加したメンバーとの横のつながりが出来ることで、最新の投資情報を得られるネットワークを構築することもできます。
私も、現地に出向き自分が投資した物件がどうなっているかを確認しながら、さらなる「歪み」を探してみようと思います。
【連載】マイナス金利時代の資産運用術 第1回から第3回はこちら>>