お祭り船「べっぴん丸」で日本の港町を活性化!?[小山薫堂の妄想浪費 Vol.14]

老舗商店のポップアップショップが立ち並ぶ、神社の仲見世のような「べっぴん丸」がいよいよ就航!? (illustration by Yusuke Saito)


2011年3月11日の東日本大震災のあと、渡辺謙さんと僕はすぐに支援サイト「kizuna311」を立ち上げた。その後、NHKのドキュメンタリー取材を通じて親交を深めるようになった40代の鮮魚卸売業者の方が、上物が流されて何もない土地を持っているという。謙さんは地元の人の交流の場となる“復興サロン”を建てたいと言い出した。費用は謙さんで、設計は被災地支援に取り組んでいた建築家の伊東豊雄さんに依頼して、13年11月にオープン。気仙沼のKと渡辺謙のKをとって、「K-PORT」と名付けられたサロンは、いまも普段はカフェ、ときどきイベントを開催するなど、積極的に地元の人々に活用されている。

このK-PORTが完成したとき、謙さんに「小山さんも熊本につくったら? 天草だからA-PORTとかさ」といわれた。そのときは冗談の類かと思って聞き流していたのだが、この4月に熊本にも大きな地震が起こり、天草も実際に観光客が激減してどこもかしこも閑古鳥が鳴いている。

先日も謙さんに「いまこそやらなきゃ」といわれ、確かにそうだと思った僕は、天草の本渡港に物件を探しにいった。ちょうど蔵みたいな三角屋根がふたつ続く素敵な物件があり、調べてみると農協が持っている未使用の倉庫らしい。数百万円もだせば、街が賑わう拠点をつくれるだろう。ということで、こちらも誰か協力してくださる資産家の方がいたらぜひご連絡ください! べっぴん丸が本渡港に滞在するときにも活用できると思います。

小山薫堂◎1964年、熊本県生まれ。放送作家・脚本家として『世界遺産』『料理の鉄人』『おくりびと』などを手がける。エッセイ、作詞などの執筆活動の他、京都市や熊本県など地方創生の企画にも携わっている。

イラストレーション=サイトウユウスケ

この記事は 「Forbes JAPAN No.26 2016年9月号(2016/07/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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