先日、ラジオ番組の仕事で「ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道」を訪れた。ベラビスタは造船業を営む常石造船の大切なお客様をお迎えする迎賓館として1973年に誕生。2007年9月に大規模リニューアルを行い、瀬戸内海を一望できるオーシャンビューの隠れ家リゾートとして生まれ変わった。その魅力は地産地消を基本とした美味しい食事や豪奢な宿泊施設、海と山に抱かれた美しいランドスケープだけではない。
ヨットやクルーザーを停泊して滞在ができるようにマリーナが併設されているほか、さまざまなマリンアクティビティに加え、1日1組限定の無人島でのプライベートBBQ(テントが設えてあって、シェフとスタッフが待っている!)があること。これからはプーケットやランカウイまで出かけなくても、「多島美(たとうび) 」や「東洋のエーゲ海」などと呼ばれる瀬戸内海の景観のもとで至福の時間を過ごせるのだ。
しかし、実は本題はそこではない。常石グループは「せとうちSEAPLANES」という関連企業をつくり、日本ではおよそ半世紀ぶりとなる水陸両用機を使用した遊覧飛行の運航を予定している。飛行ルートは、ベラビスタマリーナ内のオノミチフローティングポートから因島(いんのしま)、生口島(いくちじま)、能島(のしま)などをぐるりと回るもので、約50分のコース。加えて関西空港(約60分)、広島空港(約12分)などを目的地とするチャーター便も検討しているらしい。
僕は、四方を海に囲まれている日本で水上飛行機がもっと活躍してしかるべきなのではと思っている。特に瀬戸内海や僕の故郷の天草あたりはものすごく波が穏やかで、着水もしやすい。だが、なかなかそういかないのには、大きな問題がふたつあると聞いた。ひとつ目は、たとえばカナダだと湖から湖へと水上飛行機が飛ぶのが日常なのだが、それは湖水だからケアが簡単なのであって、海水の場合は毎日のように洗浄しないとすぐに錆びついてしまうのだそう。
ふたつ目は、漁業権の問題である。しかし、常石造船の場合は造船業で長らく町を支えてきたし、「国内外の魅力的な観光客を瀬戸内観光に呼び込みたい」という思いも周囲の市民に共有されたのではないか。それで漁業権の問題がクリアになり、諸々の許可も通ったのではないかと推察する。瀬戸内の美しい島々を鳥の目線で遊覧できるなんて、素敵ですよね。就航したら僕も必ず乗ろうと思います。