死に金とは、使ったお金の価値を減らしてしまう使い方をいいます。使ったお金以上の価値を得られることを生き金といいます。誰でも自分のお金を使う時は、それだけの価値があると考えて使います。しかし、世の中には価値があるように見えて、使った瞬間からその価値が目減りするものが多いのです。
一生に一度、一番高い買い物で失敗したら、あなたの生涯収入の大きな部分を失ってしまうことになります。さらに、このことは、定年間際の資産の棚卸し時期まで気がつかないことも多いのです。実際に大手上場企業の定年間際の人が、老後へ向けて経済的に大きな不安を抱えている事実を私は多く見てきました。
著書「シリコンバレーのビジネスエリートたちが実践する 使っても減らない5つのお金のルール」でご紹介した、生き金を使ってお金を減らさない、むしろ増やしていくビジネスエリートたちの考え方や使い方とは大きな違いがあったのです。
では、なぜマイホーム購入が死に金になってしまうのか。3つの理由をみていきましょう。
1. お金を生まない不動産である
ビル等の収益不動産とは違って、マイホームはお金を生みません。多くの人はローンを利用してマイホームを購入しますが、物件自体に収益力がないので、返済はすべて自分の収入から支払い続けることになります。
ローン返済は20年、30年という長期なので利息も大きな金額になります。また、所有期間中は修繕やメンテナンス費用、固定資産税も払い続ける必要があります。
2. 価値が減っていく
マイホームの内訳は建物と土地に分けることができます。建物は経年によって価値が下がるので、土地の価値がそのままでも一般的にマイホームの資産価値は購入時より下がっていきます。
ローン完済後は自分のものになるといっても、マイホームの価値が返済と利息、税金や修繕費用等の合計を大きく下回ったら、目も当てられない結果となります。それだけお金を失ってしまったことを意味するからです。
マイホーム購入を生き金とするには、使ったお金と同等の価値を維持できる物件を購入するか、使ったお金より高く売ることができる物件を購入するかです。例外的に希少性が高いエリアでは、マイホームの価値を維持できるケースがあります。しかし、これは建物というより土地の価格が高くなっている場合がほとんどです。
希少性が高い人気エリアでは、その需要から価格が上昇するケースがありますが、反面、購入金額も高い傾向にあり、手が出し辛いものでもあります。それゆえに先の事を考えず手頃な物件に手を出しがちになります。しかし、それでは“将来価値が減るもの”を購入になるので人生の最後で大損しかねません。