本作品は、米国初代財務長官を務めたアレクサンダー・ハミルトンの生涯を描いた物語。ミュージカルの大ヒットのおかげで「10ドル札の肖像から消えようとしていたハミルトンを救った」といわれて米国で話題になっている。
米国で現在流通している紙幣と肖像の一覧は以下の通りである。
・1ドル/初代大統領 ジョージ・ワシントン
・2ドル/第3代大統領 トーマス・ジェファーソン
・5ドル/第16代大統領 アブラハム・リンカーン
・10ドル/初代財務長官 アレクサンダー・ハミルトン
・20ドル/第7代大統領 アンドリュー・ジャクソン
・50ドル/第18代大統領 ユリシーズ・グラント
・100ドル/発明家、初代郵政公社総裁 ベンジャミン・フランクリン
過去の大統領が多い中、10ドル札のハミルトンと100札のベンジャミン・フランクリンの二人だけが異なる。しかし、彼らはいずれも建国の父である。米国経済に不可欠な連邦中央銀行(1791〜1811年)の設立と初のドル硬貨の発行はハミルトンの成果だと言っても過言ではない。
ここ数年、この米国札の肖像を巡り、「紙幣の肖像に女性がいないのは、女性差別で問題ではないか」という議論が巻き起こり、女性の肖像を入れる(誰かが肖像から外れる)ということが数年前に発表されていた。「何ドル札の男性を押しのけて、女性が登場するのか」が話題になり、つい最近まで「10ドル札の肖像ハミルトンが交替させられる」というのが噂として流布されていた。
ところが、米国財務省は4月20日、紙幣の表の肖像に女性を入れるのは「10 ドル札ではなく、20ドル札である」と正式に発表した。さらに、10ドルや5ドルの紙幣の裏にも女性や黒人の肖像を入れることを発表した。
つまり、ハミルトンは救われ、アンドリュー・ジャクソンが消えることになったのである。20ドル札に起用されるのは、南北戦争前の米国南部で奴隷として生まれながら、自由な北部に逃避したあと、南北戦争時は、北のスパイとして活躍、奴隷制度廃止に貢献したハリエット・タブマンである。