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2016.07.30 15:00

米初代財務長官と日本最初の大蔵大臣をつなぐミュージカル


ところが、76年に国立銀行設立基準を緩めたことと、77年2月から西南戦争が始まり戦費調達のための財政赤字から、こんどは逆に銀行券発行が急増し、インフレーションが進行した。76年から81年にかけて物価は75%上昇したという統計もある(同時期の物価は画像を参照)。

日本最初の大蔵大臣として知られる松方正義は、78年に渡仏し、中央銀行制度に興味を持った。フランスの大蔵大臣から「研究するならベルギー中央銀行が良いだろう」といわれ、部下の書記官の加藤済にベルギーに居残りを命じて、制度を研究させた。

その後、松方は81年に大蔵卿に任命されると、緊縮財政を実施し、”インフレ退治”に乗り出す。さらに松方は、加藤済を銀行局長に抜擢して、日本銀行条例の起草を命じる。翌82年には、日本銀行条例が成立、10月に開業にこぎつける。

松方の緊縮財政、不換紙幣の消却、兌換券の唯一の発券銀行として、日本銀行券の発行(85年)を通じて、日本は、近代的な中央銀行を確立することに成功した。

アメリカ最初の財務長官のハミルトン、日本最初の大蔵大臣の松方正義を結びつけたのが、このミュージカルだったのだ。

文=伊藤隆敏

この記事は 「Forbes JAPAN No.24 2016年7月号(2016/05/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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