「ニューヨークのようなダイバーシティ(多様性)のある街で、みんなをまとめる難しさ」 を痛感する毎日だ。しかし、「だからこそ、この街で会社をつくりたかった」と、矢野は言う。
「みんなが、全然違う個性や感性、意見、スキルを持っていることが評価されるような会社にしたい」と語る矢野にとって、個性と多様性は永遠のテーマだ。
マテリアルワールドが目指すのは、女性が、人生というキャンバスに「進化や進歩、自己改革のストーリー」(ツェン)を描き続けることができるよう後押しをすること。昨今のスタートアップの多くがお金儲け第一ではないように、マテリアルワールドも、売上高では測れない「何か」を大切にしている。「社員が会社のビジョンを語る姿を見ると、契約を取ることより100倍うれしく感じる」と、矢野は目を輝かせる。
マサチューセッツ州バブソンカレッジ教授で、ニューヨークの女性起業家支援イニシアチブの諮問委員を務めるパトリシア・G・ グリーン氏によると、VCによる資金調達の点では、女性経営者の会社と男性経営者の会社に大きな開きがある一方、女性起業家のほうが、チームの結束や成長に自信を持っているという。
「男性に追いつかなければ、という発想には賛成しかねる」と、グリーン教授は言う。「男性がつくり上げてきた既存のモデルを 『複製する』という考えに、私たちはとらわれすぎている」。
人々の生活にとって本当に役立つもの、人生を豊かにするものは何かを独自の視点で追求していくー。
新世代の女性起業家二人の旅は、今、 始まったばかりだ。
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