キャリア・教育

2016.07.25 17:00

グローバルに働く女性が心得ておくべき5か条

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グローバルに活躍する女性たちに共通点はあるのか? バックグラウンドの異なる同僚たちと仕事をするうえで、意識すべきことは?Google専務執行役員兼アジア太平洋地域マネージングディレクターで、女性の活躍を支援するプロジェクト「Women Will」の推進に力を注ぐ、岩村水樹に聞いた。

グローバルに活躍する女性たちはみな、それぞれ特徴があり、それぞれのやり方で仕事をしているとは思います。だた、共通して言えるのは「いかに信頼される人になるか」。Trust(信頼)を勝ち取ることが、非常に重要だと考えています。

仕事ぶりが信頼できる、というだけでなく、相手との関係のなかで「この人は、私にとって信頼できる人である」と思わせるような関係を早い段階でつくり上げる。その方が、成果も出やすいんです。

Googleでも、ハイパフォーマンスのチームの大きな特徴は、チームが “safety(安全)”な場所である、ということ。つまり、「ここは自分にとって安全なスペースであり、何を言ったとしても否定されない、聞いてもらえる」と思えているかどうか。「これを言ったらまずいかな」と、空気を読むことばかり考えるのではなく、多様なバックグラウンドや考え方の人間が「ちょっと違うな」と思った時に、きちんと意見を言い合える関係というのが、非常にハイパフォーマンスなチームをつくると考えられます。

これは個人の仕事においても言えること。「この人は信頼できる」と思わせることができれば、自分もやりたいことが実現できるようになる。大きな仕事を任されたり、何となくチームに巻き込まれていったり。

「信頼」は全人格から

問題は、信頼をとのように勝ち取るか。私は大きく分けて二つあると思います。

一つはadaptive(適応性のある)であること。相手を理解し、相手の目標とする方向はここであると認識し、相手の頭の構造にあわせて自分のメッセージを構成したりするなど、柔軟に対応していく。

もう一つは、オープンな姿勢であること。自分の主張ばかりで、自分の考えたフレームワークだけでしか考えられないと「言っても、聞いて貰えない」と思われてしまう。「こんなアイデアもあるんじゃない?」というフィードバックを受けた場合は、「いいアイデアだね!」と、まずは言ってみる。とりあえず一回、受け入れてみて、そこから先、何を生み出せるかを考える。

fairness(公平性)、transparent(透明性)、integrity(誠実さ)といったものも信頼に繋がるもの。そのうえで「Why?」を明確に説明することが最も大切です。「なぜ?」をきちんと語れる人は、共感を得やすいんですね。「これをやりたい」という主張のなかに、「なぜ?」が出て来ると、それが共感を呼ぶベースとなる。

人の心を掴み、動かしていく時に「なぜ?」が非常に重要になると思います。多くの場合、ロジカルに説明すればいいわけですが、意外とほとんどの会話は刺さらない。そこを意識して、ストーリーテラーになることも大切です。

もう一つ。グローバルに生きるなかでは、 常に自分の視点というものは持っておかなければなりません。「あなたはどう思う?」と聞かれて、固まらないためにも(笑)。

「信頼」を置けるかどうかは、全人格を通して判断されるもの。私自身、海外の仕事相手とはたくさん話をするようにしていますが、そんな時は仕事の話だけをするのではなく、パーソナルな話もした方がうまくいく。なるべく早く共通のバックグラウンドを見つける。すると、同じ土俵で、同じ会話ができる相手である、と胸襟を開いてくれるようになる。

これから世界を目指す人には、「先を考えて環境を選んだほうがいい」と伝えたいですね。環境が激変するのは明らか。そんななかで、もっとチャンスが欲しい、と考えるなら、新興国などに行くのも意味がある。早くから行ってしまってもいいですし、日本でもそれに近い環境を選んだり、そういうことをやらせて貰えそうな部署を希望したりしてもいい。自分で「環境」を担保することが大切です(談)。

【心得5か条】
1. Trustを勝ち取れ
2. Whyで共感を得よ
3. ストーリーテラーであれ
4. 共通のバックグラウンドを探せ
5. 先を見て、環境を選びとれ

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岩村水樹◎Google専務執行役員兼アジア太平洋地域マネージングディレクター。ミッションは、課題を抱えている人々に対し、いかにテクノロジーを通じて解決していくか。世界的に見ても、女性のテクノロジーの活用度合いは低く、格差を広げることにもつながっている。テクノロジーのジェンダーギャップを埋めることで、女性が活躍しやすい社会を目指す。

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構成=古谷ゆう子

この記事は 「Forbes JAPAN No.26 2016年9月号(2016/07/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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