現時点での世界最大手、トヨタは6月29日、5月の世界販売・生産台数を公表した。今年1~5月でみると、同社の生産台数はいわゆる“ディーゼルゲート”スキャンダルにゆれるVWを10万台近く下回っている。
VWは数週間前、「2018年に世界最大の自動車メーカーになる」としていた同社の目標を撤回する方針を明らかにしたところだ。だが、奇妙なことに、その目標は2年近く前倒しで実現することになる可能性が出てきたのだ。
VWが年末までに生産台数でトヨタを負かすことができる確率は、高いといえる。巻き返しを見せている中国市場と欧州市場で、VWの業績が好調なことが理由だ。一方のトヨタは、これらの市場を苦手としている。ユーロ安も、VWの輸出を後押ししている要因だ。
米国では、VWグループの売上高は今年1~5月、前年同期比で6.2%減少した。しかし、同グループの世界全体での売上高に米国市場が占める割合はわずか5%と小さいことから、それほど大きな痛手にはなっていない。米国市場での業績悪化の原因は主に、ディーゼル車の販売を中止したことだ。これに関連してドイツ国内では、VWは当面、米市場でのガソリン車の販売も取りやめるのではないかとの見方が出ている。
ただし、トヨタはこうしたVWの“躍進”も意に介していないもようだ。それよりも同社が気にかけているのは、世界全体が景気循環の後退期に入る可能性など別のことだ。同社は何年も前から生産工場の増設に後ろ向きで、メキシコと中国で親切を計画している小規模な工場も、10年以内に稼働することはなさそうだ。