ビジネス

2016.06.08 08:00

IoT企業を吸い寄せる中国のシリコンバレー「深セン」 1400万人都市の魅力

Zhong Zhi / gettyimages


本社は香港。製造拠点が深センという企業も
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しかし、深センとて起業家に必要なリソースが全て整っているわけではない。ビジネスを立ち上げるためには、製造サイドと事業運営サイドのリソースをバランス良く整える必要がある。2014年に設立されたIoTアクセラレータ「Brinc」の共同創業者であるニック・ラミルとベイ・マクラフリンは、ビジネスの拠点として香港を選んだ。Brincは製品開発や商品流通などの面でIoTスタートアップを支援している。

「香港は珠江デルタに近く戦略的な立地だ。また、製造や部品調達、物流などの機能を長年担ってきたため、IoTスタートアップを支援するには理想的な環境だ」とCOOのマクラフリンは話す。しかし、香港の賃料の高さは起業家にとって大きな負担だと彼は指摘する。

Brincで事業検証の責任者を務めるラミルも、深センはインターネットの接続が悪く、グローバルビジネスを運営する上で必要なリソースが不足しているなど、障害が多いと指摘する。そこで深センに近い香港に拠点を置くことでこれらの問題を解決し、双方のメリットを享受できるという。「多くのIoTスタートアップが抱える製造面での課題は、世界の製造拠点に隣接する香港に拠点を置くことで大幅に緩和できる。製造段階でのミスを繰り返さないためには、製造業者と直接話し合い、ハンズオンで関わることが不可欠だ」とラミルは言う。
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Brincの支援先でスマート目覚まし時計を開発するKelloも、製造現場の近くに本拠を置くために香港に移った会社の一つだ。「Kelloの創業者たちはフランス出身だが、香港に移住した。製品のデザインや機能の検証は既に済んでおり、現在はプロトタイピングを行っている」とラミルは言う。ソフトウェア開発と同様に、ハードウェアもプロトタイピングやテストを繰り返すため、製造現場の近くにいることがビジネスの成功を大きく左右するのだ。

編集=上田裕資

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