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2016.06.08 08:00

IoT企業を吸い寄せる中国のシリコンバレー「深セン」 1400万人都市の魅力

Zhong Zhi / gettyimages

シリコンバレーから遠く離れた中国の深センは、IoTスタートアップにとっての新たな聖地だ。深センは香港の北40キロほどに位置する人口約1,400万人の都市で、経済特区に指定されている。欧米での知名度も急速に高まっており、世界中のハードウェアスタートアップが深センに製造拠点を構え、最近では特にIoT分野の企業が深センに集積している。

世界中のソフトウェアエンジニアがシリコンバレーに集まるように、深センには世界中からハードウェアの開発者たちが集まり、最新技術を駆使したデバイスの製造に取り組んでいる。彼らは、2005年から盛り上がりを見せる「メイカーズムーブメント」にちなんで「メイカーズ」と呼ばれている。革新的なモノ作りに挑む深センの風土が、世界中のハードウェアスタートアップを魅了しているのだ。

「メイカーズ」イベントに世界の技術者が集結

こうしたトレンドを象徴するように、昨年深センで開催された「メイカー・フェア」には5万人もの来場者が訪れた。メイカー・フェアは、起業家や製造工場のオーナー、技術者たちが集まって交流する世界最大のDIYイベントだ。IoTの普及が進む中、モノ作りの実績が豊富で優秀なエンジニアが集まる深センは、世界中のIoT企業にとって理想的な製造拠点となっている。

MakerBot創業者で3Dプリンターのパイオニアであるザック・スミスがニューヨークから深センに移住したことも、深センの存在感の高まりを如実に表している。また、世界最大手のドローンメーカーであるDJIは深センに本拠を置いており、台湾企業のフォックスコンは中国における最初の製造拠点を深センの龍華に設けた。フォックスコン龍華工場は敷地面積が約2.6平方キロメートルで、敷地内には業務用施設のほかに社員寮や食料品店もある。

世界最大手のハードウェアアクセラレータ「HAX」でゼネラルパートナーを務めるベンジャミン・ジョフは次のように述べている。

「HAXが香港ではなく深センに拠点を構えたのは、プロトタイピング用の部品調達が容易な上、モノ作りのエコシステムやノウハウにワンクリックでアクセスできるからだ。しかも、深センは香港よりも早くて安い」。

一方でジョフは香港の強みとして、オープンなインターネットやグローバルな人材、法の支配、英語の普及、先進国のライフスタイルなどを挙げる。「香港はアーリーステージよりも成熟したオペレーションに適している」とジョフは話す。
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編集=上田裕資

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