だが、ソニーのプレイステーション4やマイクロソフトのXboxにとって、中国のゲームデバイス市場はなお手ごわいマーケットだ。そして、この分野で覇権を狙う中国人起業家が現れた。
中国ではコンソール機は15年間禁止されてきた
Fuze(斧子科技)が北京で4月に開いたアンドロイドベースのゲーム機「Tomahawk F1」のリリースイベントは、1万人以上が詰めかけ活況となった。ゲーム機はUbisoftの「Assassin’s Creed Chronicles」やコーエーテクモの「真・三國無双」シリーズなど、70以上の人気作品を擁し、価格はスペックによって137ドル(約1万5,000円)と229ドル(約2万5,000円)に設定されている。また、Fuzeでゲームをするには、月に最大3ドルの会費が必要になる。
Fuzeを創業した47歳のワン・フォン(王峰)は、手ごろな価格がゲーム機普及のきっかけになると期待する。メインターゲットは、ファミリー層だ。コアなゲーマーと違い、彼らはテレビを使って楽しめるコンテンツを求めてはいるものの、2,999元(約5万円)のXboxや2,899元(約4万9,000円)のPS4には手を出すまでは至らない。
Fuzeのゲーム機にはライブストリーミング機能があり、オンライン動画配信のLeEco(楽視)との連携によって、映画をストリーミング視聴できる。オンラインバトルをリアルタイム楽しむこともでき、ワンはさらに中国の若者に人気があるカラオケ機能の追加も検討する。ユーザーはFuzeのデバイスをゲーム機にとどまらない多目的エンターテイメントデバイスとして使用できる。ワンは「この製品が家庭に受け入れられたら、もっと大きな市場を手に入れられる」と語った。
しかし、Fuzeが成功するかは未知数だ。アジアのゲームコンサルタントNiko Partnersによると、ソニーとマイクロソフトは昨年、中国でゲーム機計55万台を販売した。アムステルダムのリサーチ会社Newzooは中国のゲーム産業規模を世界最大の222億ドル(2015年、約2兆4,400億円)と試算するが、Niko Partnersの調査では、中国のテレビゲームマーケットは6億5,400万ドル(約720億円)にとどまる。
ワンは中国のゲーム機マーケットの小ささを認めつつも、今後、テレビゲームで遊ぶ人が増えるにつれ、外部端末と接続するエンターテイメントデバイスの需要も拡大すると予測する。ゲーマーがスコアを披露するようになれば、Fuseのソーシャル機能はユーザーの獲得維持に効果を発揮するかもしれない。
ワンは「政府の規制が続いたことで、コンソールゲーム市場には大きな空白がある。しかし私たちは、リビングでゲームをする楽しさを分かってもらうべく挑戦を続ける」と述べる。