チューブ内の気圧は約100Pa、つまり通常の大気圧の約1,000分の1だ。電磁推進システムによって巡航速度に達すれば、車両はカーブや高度の変化の回数によって20〜30マイル、電力供給がない状態で“滑る“ことができる可能性がある。ハイパーループ・テクノロジーズでは、車両を浮上させ、摩擦をほぼ無い状態に維持する上で、継続的な電力供給を必要としない“無電源電気浮揚システム“と称するものを考案した。
最高速度は、チューブの軌道や地元の規制によって異なる。貨物については乗り心地は問題にならないため、乗客を輸送する際よりも速いスピードに加速されることになる可能性が高く、最大で時速700マイル(約1,127km)に達する可能性もある。
「ハイパーループを使えば、ミシガン州のデトロイトから100マイル(約160キロ)以上離れたイーストランシングまでの乗客輸送が約20分になる」とバンブローガン。「インターネットと同じような原理で、輸送を“パケット化“する。コンパクトな車両にし、10秒程度の短い間隔で発車する仕組みだ」は説明した。
乗客用車両は、最大限の柔軟性を実現すべく20~30人乗りで設計が行われている。ハイパーループの“線路”は複数の都市を結ぶものになり、それぞれの目的地に到着したら、車両はその“線路“を外れたところにある“乗降口“につけることになる。
バンブローガンの言う「輸送のパケット化」というのはインターネットの仕組みによく似ている。ネットでは、異なるコンピューターに向かう小規模な個々のデータパケットが同じ伝送経路を進み、それぞれの目的地で別のラインに逸れていく場合がある。車両を比較的小さい規模にとどめることで、ハイパーループについても利用可能性を最大限にしつつ、同じことをしたいとバンブローガンは考えている。
1本のチューブの中で、車両は一方向にしか進むことができないため、双方向の移動を実現するには、各ルートに最低でも2本の並行したチューブを建設する必要がある。複数の目的地を結ぶ環状のチューブ1本というシステムも建設可能だが、利用者にとってはあまり望ましくない。
バンブローガンはまた、ものを動かすことに重点を置き、そのために使われる仕組みについてはさほど気にしない鉄道会社との提携についても言及。実現すれば、ハイパーループ・テクノロジーズはそれら鉄道の線路に近い既存の敷設用地を活用することができ、導入を劇的に単純化することが可能になる。