『選択の科学』の教授が語る「女性が働く」という選択肢

シーナ・アイエンガー コロンビア大学ビジネススクール教授/アジア女子大学支援財団理事メンバー(写真:藤井さおり)


谷本:最後に、目下、多様化人材の活用を推進する日本企業に何かアドバイスをお願いいたします。

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アイエンガー:ジェンダーギャップを狭めることでGDPが13%あがるというデータがあります。また、一人でも女性の取締役がいる企業は、売り上げが42%アップし、破産・倒産の可能性が20%下がるというデータもあります。

それは、決して女性の方が男性より優れているから、というわけではありません。女性と男性では脳の働きが違うという科学的なデータがあるように、同じ事柄でも、女性は男性と違った見方をします。女性を増やせば、そのぶん企業の視野が広がり、生産性が高くなるということなのです。

私が専門とする「選択」に寄せて考えると、女性が「働く」という選択肢を持つことは、他のあらゆる選択と同じく、いい結果も悪い結果も両方出てきます。考えるべきは、その選択の結果を全体的に見たときに、いい結果の方が多いのか、もしくは悪い結果の方が多いのか、ということです。女性が働くという結果は、私が見たところ、全体的にいい影響をあたえる選択だと言えるでしょう。

シーナ・アイエンガー◎コロンビア大学ビジネススクール教授/アジア女子大学支援財団理事メンバー。1969年カナダ・トロント生まれ。米スタンフォード大学で社会心理学の博士号を取得。両親は、インドのデリーからの移民で、シーク教徒。1972年にアメリカに移住。3歳の時、眼の疾患と診断され、高校にあがるころには全盲になる。著書に世界的ベストセラーの『選択の科学』(文藝春秋)がある。

構成=吉田彩乃 衣装協力(谷本)=HIROKO KOSHINO PREMIER

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