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世界37カ国、700万人が愛読する経済誌の日本版

PHOTOBUAY / shutterstock

2015年1〜9月のベンチャーキャピタルによるブロックチェーン・スタートアップへの投資額は、前年2倍の約4億6,200万ドル(約554億円)。また、金融サービス系のブロックチェーン関連のスタートアップは約300社存在するとも言われ、いまや「インターネット革命」の再来を予感させる過熱ぶりだ。

最近では、デジタルガレージによる「ブロックストリーム」への投資が印象的だ。同社はブロックチェーン関連サービスの開発を促進する「サイドチェーン」というオープンプラットフォームを開発する。デジタルガレージは日本市場へフィンテックのオープンイノベーションを推進することも明言している。

また、世界中の金融機関もブロックチェーンによるイノベーションへの離陸体制に入っている。その代表的事例が、ニューヨーク発のスタートアップ「R3CEV」の試みだ。同社はブロックチェーンおよび派生技術の業界標準化を狙う“イノベーションファーム”を標榜し、バークレイズやJPモルガン、UBS、クレディ・スイス、三菱UFJフィナンシャル・グループを含む金融機関約42社以上が参画する。

「理論的には世界規模でお金の移動の高速化、低コスト化、堅牢化が実現できるブロックチェーンだが、失敗が許されない金融機関がシステムを刷新するには金融機関同士のトップレベルの合意形成も必要。そこで多くの金融機関をコンソーシアムのメンバーに加え、業界全体にブロックチェーンシフトを起こそうとしているところに、R3CEVの大きな価値がある」と話すのは、月間取引額30億円のビットコイン取引所「coincheck」を運営するレジュプレス取締役の大塚雄介だ。

また、ブロックチェーンを“次のフェーズ”へと進めるために「技術と規制のジレンマ」についても、先行した議論が進められている。ブロックチェーンはこれから、技術的には可能でも、法制度の解釈が追いつかない“現実”との対面が表面化するからだ。「法制度から見ると、同じブロックチェーンでも、単一の機関・組織が持つプライベート型ブロックチェーンと、複数の機関・組織が関わるコンソーシアム型とは決定的に性質が異なるもの」と森・濱田松本法律事務所弁護士の増島雅和は話す。

コンソーシアム型のブロックチェーンでは、技術的特性上、取引の台帳が複数の機関・組織に共有される。つまり、A銀行で行った取引の個人情報が、B銀行やC銀行にも共有される。個人情報の持ち方のスキームそのものが議論される必要があるのだ。

増島氏は、こうした「技術と規制のジレンマ」にまつわる問題を、否定的にとらえているわけではない。インターネット黎明期に知財で起こった出来事に重ね、次のように話す。

「インターネット黎明期は、既存の著作権や肖像権が問題化しました。その中でアメリカが『デジタルミレニアム著作権法』をつくり、新技術に対応できる法整備を含む規制の“アーキテクチャー”が整ったことで、現在の姿となった。これと同じことが、形を変えてこれからの金融業界でも起こってくるのではないでしょうか」。

15年末はブロックチェーンにとって「過度な期待」が集まった。上記のような“現実”問題から、これからは否定的な報道などもなされ、「幻滅期」に入るという見方もある。しかしブロックチェーンは、もはや非現実的な“魔法の鎖”ではない。産業変革を起こしたインターネットのように、金融業界を変革する「明白な天命」として、最前線では準備が進められているのだ。

文=森 旭彦

 

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