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2016.02.26

世界最有力「Fintech50社」はここだ! 1.クレジット・カルマ

クレジット・カルマのKenneth Lin CEO / photograph by Christian Peacock

デジタル技術の進化が、人々の暮らしを変えてきた。例えばアマゾンは買い物の仕方に変革を起こしたし、アップルは音楽ビジネスを再構築した。こうした波が今、金融の世界にも大きな変化を迫っている。

新たな技術は、お金の稼ぎ方や、貯蓄、投資、消費といったあらゆる側面おいて影響を及ぼすだろう。こうした変化は、誰もが自分の資産をウォール街のアナリストのように管理できるようになるという点において、革命的といえる。一方で、より簡易に、安価に、小規模な資産に影響を及ぼすという点で、一般市民にとって身近な変化だ。それだけに平凡な日常に、非常に大規模な変化を起こす可能性を秘めている。

アメリカ金融業界の2014年の税引前利益は、2,810億ドルだった。だが、新たな技術が、その金額を脅かし始めている。投資家も、ウォールストリートも、この変化の機会を捉えようとしている。米調査会社CBインサイトによると、15年の1月から9月までの9カ月間で、アメリカのフィンテック起業家への投資額は105億ドルに上った。14年の同時期の39億ドルと比較すると、実に2.7倍に増えている。

今、世界で注目すべきフィンテック企業にはどのようなものがあるのか? フォーブスが選んだ50社を紹介する。

【1】クレジット・カルマ

クレジット・カルマが登場する以前のアメリカでは通常、与信スコアの確認は有料だった。同社は、多くの銀行が使用しているFICOスコアではなく、信用情報機関3社が独自に開発したVantageスコアを提供する。

現在は4,500 万人のアメリカ人がクレジット・カルマの無料会員に登録しており、これは信用データファイル保有者の1/5に相当する。同社は信用履歴にもとづいて、顧客に適したローンやその他商品を斡旋、申し込みまでの効率的な処理を提供することで収益を上げている。

また同社は顧客に与信レポートに関する異議申し立ての手段を提供しており、これまでに65万人が利用した。さらに現在は、与信スコアが上昇してより低いレートを適用できるようになった場合に、会員に通知するシステムを開発中。

クレジット・カルマ(Credit Karma)
拠点:サンフランシスコ
創業者& CEO:Kenneth Lin(40歳)
資金調達:Google Capital、 Tiger Global Management、Ribbit Capital から3億6,850万ドル
企業価値:35億ドル(15年6月時点)
脅威を与える対象:与信スコアやモニタリングを行う信用情報機関、FICOスコア作成会社のFair Isaac
消費者に対し、与信スコアと与信モニタリングを無料で提供。2008年以降、米国内の同社での与信スコアの確認回数は10億回を超えている。



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『Forbes JAPAN』4月号(2月25日発売)では、「世界最有力『Fintech50社』はここだ!」特集を掲載。日本でも2月24日には、金融庁が仮想通貨を「貨幣」認定する法改正へ動くという報道がされるなど、金融と技術を組み合わせた造語「Fintech(フィンテック)」が世界的に大きな動きが出ている。今回は、世界で注目すべきフィンテック企業はどのようなものがあるのか?フォーブスが選んだ50社を紹介する。

翻訳=松岡智美、構成=ジャネット・ノヴァク、マット・シフリン、取材=サマンサ・シャルフ、ローラ・シン、ローレン・ゲンスラー、マギー・マクグラス

この記事は 「Forbes JAPAN No.21 2016年4月号(2016/02/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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