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2015.11.24

新世代の決済サービス 11の特徴

Kudla / Shutterstock

新世代の決済方法を実現したスクエアが11月19日、同種のユニコーン企業の間では初となる上場を果たした。決済サービス事業を行うその他の新興企業も今後、相次いで上場していくだろう。米調査会社CBインサイツによると、評価額が10億ドルを超えるとみられる各国の非公開のフィンテック(金融と技術)関連のユニコーン企業は、18社のうち8社が決済ビジネスに携わっている。

2009年に創設され、サンフランシスコに拠点を置くスクエアは、少額の取引でもクレジットカードを使うことを可能にし、支払いにおける私たちの利便性を大幅に向上させた。そのスクエアをはじめ、決済ビジネスを行う新興企業のイノベーションの多くには、私たちの「支払い」を根底から変えてしまうほどの潜在力がある。

世界経済フォーラムは、今夏に公開した金融サービスの将来に関する報告書の中で、決済方法にみられる非常に重要な2つの変化を指摘している。一つは世界的な規模で進むキャッシュレス化。もう一つは、資金の移動を記録・管理する新たな方法の普及だ。もともとは仮想通貨「ビットコイン」の全取引を記録するために使用されていた公開取引簿「ブロックチェーン」などで、現在は従来の意味での「資産」の取引履歴を記録するためにも使われ始めている。

これらのイノベーションは、お金に関する私たちの生活をどのように変化させるのだろうか──。報告書では次の11項目が挙げられた。6項目はキャッシュレス化に起因するものであり、残る5項目は取引を管理・記録するための新たな方法の普及によるものだ。
 

1. キャッシュレス化がもたらす変化

現金離れ:少額の支払いの場合でもペイメントカードを利用した方が顧客にとっては有利な場合が増える。このため、現金の利用は減少すると見込まれる。

心理的変化:取引の仮想化と自動化が進むことから、より多くの支払い処理が顧客の目に見えないものになる。これは、顧客のニーズと購買行動の変化につながると考えられる。

潜在顧客との関わり方:支払いと可動性(携帯端末の利用)がより統合されたものになる。これにより、企業や金融機関にとっての決済は顧客との潜在的な接点としての重要性が高まる。

データの重要性:電子決済の導入が大幅に促進されることから、決済によって蓄積されるデータが増加する。それに伴い、金融機関や企業の顧客に関する理解が進む。

融資件数の増加:電子決済の利用回数が増加すれば、金融機関は個人や企業のキャッシュフローや消費パターンを把握しやすくなる。そのため、それまで融資の可否に関する審査が難しかった顧客にも融資をしやすくなる。

コストの低下:革新的なソリューションは変動費が少ない既存インフラの上につくられている。そのため、電子決済の件数が増加すれば電子決済の利用1回あたりのコストは減少することになる。


2. 資金移動の新たな管理方法がもたらす変化

グローバル化:決済において地理的な距離の重要度が低下し続ける。非銀行利用者層の多い地域との取引も可能になるとみられる。

迅速化:口座間の送金決済の所要時間が大幅に短縮される。

透明性:資金の流れの可視性と追跡可能性が向上する。

安全性:不正行為を行い得る機会が大幅に減少する。

コスト低減:合理化と自動化により、決済にかかるコストが大幅に減少する。

編集=上田裕資

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