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世界の億万長者からアート詐欺まで、権力と金について執筆

First Round Capitalでパートナーを務める Josh Kopelman氏。(Photo by Lisa Lake/Getty Images)



ドットコムバブルの崩壊から10年。シリコンバレーでは、再びとんでもない状況が生まれつつある。企業価値が数十億ドルのスタートアップが続々と誕生し、テレビドラマの「シリコンバレー」や、スティーブ・ジョブスを描いた映画が人気を集める状況を、メディアは、バブルの再来だとか、テクノロジーオタクの文化がメインストリームになる前兆だなどと騒ぎ立てる。

テック業界の現状を正しく理解するために、フォーブスは「アンダー30サミット」にテック業界の新たなスーパースターらを集め、ディスカッションを行った。10月5日、フォーブスのSteve Bertoniがモデレーターを務めたその場には、未上場にして企業価値が10億ドル(約1200億円)を超える「ユニコーン企業」の創業者3名と、著名ベンチャーキャピタリストが登壇した。彼らはまず、シリコンバレーでの成功を測る上で、10桁の金額の企業価値が、一体どれほどの意味を持つのかについて話し合った。

「これは新たに生まれた無価値な指標だ。企業価値は結果であって、最大化することが目的ではない」とFirst Round Capitalでパートナーを務める Josh Kopelmanは言う。First Round Capitalは、これまで投資先のエグジットで何億ドルもの利益を得ている。

オンライン決済プラットフォーム「Stripe」の共同創業者、John CollisonもKopelmanの考えに同調した。Stripeの直近の企業価値は50億ドルだ。Collison自身は「ユニコーンという表現が大嫌いだ」とし、本来、企業は長期的な価値を生み出す力で評価されるべきところが、ユニコーンという誤解を招く表現によって、資金調達能力だけで評価する風潮が広まっていると警鐘を鳴らした。また、Collisionは「企業価値レース」は際限がなく、外部による錯覚であるだけでなく、内部の人間を思い上がらせ、事業の焦点を見失わせる恐れがあると述べた。

シリコンバレーでビリオネアになることを渇望する大学生が増える中、29歳で米バイオテック業界最大のIPO(調達額3億1500万ドル。企業価値14億ドル)を成し遂げたAxovantの創業者兼CEOのVivekRamaswamyは、問題の核心を鋭く突いた。
「スタートアップに参画したり、起業を志す人々の“社会的バブル”現象が起きている」

Datto創業者のAustin McChordは、モデレーターのBertoniからの「テック業界は美化されすぎているか?」という問いかけに強く頷いた。「この仕事は厳しく、いつまでたっても楽にならない。常に学習し、成長を続けないと、すぐに溺れてしまう」とMcChordは話す。McChordは2013年に証券会社からの1億ドル(約120億円)での買収提案を断り、現在では年商が1億ドルを超えるまでに事業を成長させた。会社の規模に比例してリスクも拡大し、成長の勢いを持続するためには、増え続ける従業員たちを絶えずスキルアップさせなければならない。

この点にはパネリスト全員が賛同した。会社が大きくなると、集中力や敏捷性を維持することはとても難しくなる。起業家の中には、企業価値を高めて口座の残高を増やす誘惑に駆られ、焦って事業規模を拡大する者もいる。Kopelmanによると、資金調達に成功して銀行口座に多額のお金が振り込まれると、規律や集中力を保ち続ける動機を失うことが多いという。

パネリストは、新進の起業家に向けてそれぞれアドバイスを述べた。Collisonは、「逆張りをするなら、よく考えて実行すること」と述べた。Ramaswamyは「他社と異なる事業をやることが目的になってしまう危うさ」について話し、聴衆らに「一時の衝動ではなく、情熱に駆られて起業するべきだ」と語った。

ユニコーン企業を築いる起業家らに対し、ユニコーンという言葉を嫌う理由を聞くことは、彼らの謙虚さを試すだけの、空虚な試みにも思える。しかし、この問いは、シリコンバレーをはじめ、テック業界全体が現在直面している課題を如実に表している。

インターネット革命によって新たなビジネス機会が溢れるように出現し、輝きを放つスタートアップに対して投資家が何十億ドルもの資金を投じる状況下で、事業に集中し、我を失わないことはとても重要だ。これらを実践するには、Ramaswamyのアドバイスに従うのが良いだろう。「優れたチームにとって、企業価値が高くなり過ぎることはない」

文 =アグスティーノ・フォンテヴェッキア(Forbes)/ 編集=上田裕資

 

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