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マーケット、ミレニアル世代、マネー担当。

Daryl Lang / Shutterstock


米金融大手のJPモルガン・チェースは10月26日、新たなモバイル決済サービス「Chase Pay」を発表した。メガバンクがアップルやグーグル、サムソンと真っ向から対決する動きとして注目されている。

フィンテック関連のカンファレンス「Money 20/20」の中でChase Payの立ち上げを発表したバンキング部門責任者のGordon Smithは、「Chase Payは、店舗やオンライン、アプリで使用することができる。利用者と店舗の双方にとってシンプルでメリットがあり、安全でなくてはならないという原則にそって開発をした」と述べた。

利用者は、スマホを使って店舗での支払いを済ませることができる。例えばレストランでは、スマホで伝票の写真を撮れば、あとはクリック一回で決済が完了する。会員ポイントは、チェースと店舗の双方から自動で付与される仕組みだ。店舗がこのサービスを導入する際、多くの場合は手持ちのギフトカード・スキャナーで対応が可能だという。

また、チェースは、「Merchant Customer Exchange」という小売業者のコンソーシアムと提携した。これにより、ウォルマート、ターゲット、ベストバイ、シェルなどの店舗でChase Payを利用することができるようになる。

しかし、このサービスがどれだけの人に受け入れられるかは未知数だ。Chase Payは、Apple PayやAndroid Payのようにスマートフォンを決済端末にかざして支払いができる、NFC(近距離無線通信技術)に対応しない。その代わり、スマートフォンに表示されたQRコードを店員に提示し、スキャンしてもらう方式を取る。アップルは今のところ、iPhoneのNFCチップの利用をサードパーティーに開放していない。

チェースは、技術的な制約に加え、サービス導入のタイミングでも競合に遅れをとっている。アップルが2014年10月にApple Payを立ち上げてから一年が経過している。チェースのサービス開始は2016年半ばになる予定だ。しかし、チェースは、自社の巨大な顧客基盤を活かし、すぐに追いつくことを期待している。

担当者はプレゼンの冒頭で「全米の半分の世帯がチェースの顧客であり、チェースのクレジットカードやデビットカードを使った決済金額は年間7,070億ドル(約84.8兆円)、決済件数は一日当たり3,400万件にも上る」と述べた。

チェースは、同行の顧客9,400万人分のカード情報をあらかじめ取り込むとしており、顧客は規約に同意するだけですぐにChase Payを使用できるようなる。これはチェースにとって大きな強みになるだろう。これまでの調査によって、消費者の多くはモバイル決済を認知しており、利用することに乗り気であることがわかっている。しかし、その一方で利用者の数はそれほど増えていない。

決済業界の情報サイト、PYMNTS.comは10月26日、Apple Payに関する調査結果をリリースした。それによると、2015年10月時点で、iPhone 6と6SのユーザーでApple Payの利用経験があるのは、僅か16.6%だということだ。それでも、2015年6月の13.1%からは少し改善している。

また、調査会社Pheonix Marketing Internationalによると、クレジットカード所有者の14%がApple Payを利用しているが、サービス立ち上げ直後の盛り上がりはひと段落し、成長率は鈍化しているという。モバイル決済サービス全般の将来性については、専門家の間でも意見が分かれる。eMarketerのアナリストであるBryan Yeagerは、アメリカにおけるモバイル決済の市場規模が271億ドル(約3.3兆円)と3倍に成長していることを踏まえ、2016年はモバイル決済業界にとって飛躍の年になると予測している。

一方で、専門家の中には、モバイル決済の種類が世の中の需要を上回っていることを懸念する者もいる。ペイパルの上級副社長ビル・レディは、消費者に電子決済サービスを受け入れてもらうことの難しさについて次の様に語った。「Google Walletが苦戦しているように、時にこうしたソリューションには、ニーズが存在しないこともある」

文=サマンサ・シャーフ(Forbes)/ 編集=上田裕資

 

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