フェイスブックは昨年、ウーバーの配車をメッセンジャー経由で依頼可能にし、先日はKLMオランダ航空と提携し、搭乗券の受け取りにメッセンジャーを利用可能にした。既に二十数社がビジネスアカウントを設けているが、今回のF8でさらに広範囲の業種からの参入が発表される。
また、ビジネスアカウントの拡大と同時に導入されるのが、チャットボットのビジネス運用だ。フェイスブックは今回、メッセンジャー上で稼働するボットの制作ツールを公開し、企業らの利用を促進する。
チャットボットAPIを開発者向けに公開
開発者によると今回のFBでフェイスブックはボットのAPIとSDKを公開する。しかし、今回、導入が始まるボットは、洗練された知的な会話を行うAI(人工知能)というよりはむしろ、もっとシンプルな対話に活用されるものになりそうだ。
自らを「ボット製造企業」と名乗るGupshup社の創設者、Beerud Shethによると、ビジネスアカウントでの顧客との対話は、クリックやプルダウンを繰り返す、メニュー・ツリー的構造のものになるという。「注文や問い合わせが効率的に行える、シンプルなウェブページのようなものになるでしょう」とShethは述べる。
ボット上の会話は面倒なキーボード入力を極力減らし、サジェスト機能で答えを入力していくものになる。筆者は過去に、ユーザー数2億人を誇るKikメッセンジャーで、同様なデモを体験した。Kikでは既に数十社のビジネスボットが稼働しており、特にファストフード業界に浸透している。
フェイスブックはKikよりもさらに多岐にわたる業種にボットの導入を促進するだろう。先週、フェイスブックのデビッド・マーカスは新機能の「メッセンジャー・コード(Messenger Codes)」を発表した。これはメッセンジャー上に円形のプロフィールを表示させ、他のスマホでそれを読み取ると、即座に相手のアカウントが追加される機能で、企業アカウントの利用を促進する上でも強力なツールになりうる。
また、対面でのやりとり以外でもレストランや航空会社、様々な小売業者らが店舗の壁にコードを表示させ、QRコードと同様な方法でユーザーにアカウントを追加させることも考えられる。
今回のF8でどのような企業がパートナーとして発表されるかは定かではないが、関係筋の話では、全米最大規模の花屋チェーンとして知られる「1-800フラワーズ」の参入が噂されている。