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世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

Lisa S. / shutterstock

米国の平均的なスーパーマーケットの面積は4,274平方メートル。平均的なミレニアル世代の若者たちは、そうしたスーパーまで車を走らせ、駐車し、そこから15メートル近く歩いてカートを確保し、必要な食料品を選びながら歩き回ってカートの中に積み上げ、レジの前に並び、また15メートル歩いて車に戻って家に帰り、キッチンまで運ぶことを嫌がる。そんな彼らを責められるだろうか?

ネットスーパーを試してみよう。テクノロジーに詳しくなくても大丈夫だ。セーフウェイでの買い物を、インターネット上で行うというだけのことだ。

ただ、オンラインで食料品を買うということには、それなりの欠点もある。セーフウェイで扱っている商品以外を購入できないだけでなく、品ぞろえも実際の店舗よりずっと少ないか、あるいは異なっている。そしてやはり、ネットを使うことに関する技術的な点についての問題はある。まったくストレスを感じることなく、買い物ができるという訳ではない。

新たなビジネスモデル

こうした中、これらの問題を解決してくれる第三者によるサービスが登場した。スーパーで販売している食料品を配達してくれる「インスタカート」(Instacart)と「グーグル・ショッピング・エクスプレス」(Google Shopping Express)は、素晴らしいアイデアを実現した。

さらにそれだけではなく、ほぼ欠点のない解決策を実現してくれたのだ。あなたは家にいながにして、ひとつのサイトからホールフーズ、コストコ、ウォルグリーンズなど複数のスーパーから商品を選ぶことができ、購入した商品は配達員が家まで、いやキッチンまで運んでくれるのだ。

インスタカートは、配達料として1回当たり2.99~9.99(約340~1,130円)ドルを徴収する。ただし、顧客層拡大の一貫として会員制も採用しており、入会すれば配達料は無料だ。グーグル・ショッピング・エクスプレスもまた、同様のビジネスモデルを採用している。

月額95ドルの会費で、配送料が1年間無料になる。週1回以上利用すれば、配達料は1回当たり2ドル以下となり、頻繁に利用する人にとってはかなりお得だ。

こうした新しいビジネスモデルによって、食料品販売という分野にまったく新たなプレーヤーが誕生した。5年前には世界中のどこにも、最大の競争相手がグーグルになると予想したスーパーマーケット経営者はいなかったに違いない。

グーグル・ショッピング・エクスプレスもインスタカートも、似たようなビジネスモデルを採用している。ひとつのサイトで、欲しい商品を好きなだけ探すことができる。そして、興味深いのは両社共に、倉庫を設置せずに商品の配達を行っているということだ。至るところに大きな売り場面積を持ったスーパーがいくつもあるのだから、倉庫を構える必要もないということだ。

こうした変化の中で、食料品店の顧客が少しずつ、両社の顧客へと変わり始めている。スーパーの主な役割はそのうちに、グーグルやインスタカートの在庫を保管する「流通センター」になっていくだろう。この変化から、消費者がどのような利益を得るかは明らかだ。各地の食料品店は、すべてを考え直さなくてはならない──生き残っていられれば、ということだが。

現時点では、まったくスーパーに行かずに暮らすなど想像もできないかもしれない。だが、私たちは恐らく20年前、映画のレンタルについて同じように考えていたはずだ。あなたが最近、レンタルショップに足を運んだのはいつだっただろうか?

編集=木内涼子

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