ウエストは2月13日、負債が5,300万ドル(約60億円)に上ることをツイッターで告白。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOをはじめとする多数の富豪たちに、何らかの形での財政支援を要請した。フォーブスの最新の調査では、ザッカーバーグの資産は470億ドル(約5兆3,360億円)となっている。
ウエストは「マーク・ザッカーバーグがカニエ・ウエストのアイデアに10億ドルを投資」、「明日電話をもらえないか…ヒップホップが大好きだろう?俺の芸術を愛しているだろう…俺はあんたのお気に入りのアーティスト…」など何件ものコメントをツイッターに投稿。リリースしたばかりのアルバムの宣伝ではなく本当に借金を抱えているのだとすれば、ここ数年で巨額の収入を得ていたはずの人物としては、残念な結果だ。
ウエストの収入は、フォーブスの計算では2015年が2,200万ドル。2014年は3,000万ドルとされている。
ここ3年間の課税前収入は7,200万ドルで、負債を抱えることにはならないはず。しかし、確かにヒップホップ・スターたちの中では特に多いとはいえない。同じ3年間の収入は、ディディが1億7,000万ドル、ジェイ・Zが1億5,900万ドル。ドクター・ドレーに至っては、なんと6億9,300万ドルを稼いでいる(ただし、主にこれは自ら立ち上げた音楽企業Beatsをアップルに売却したことによる)。
情報筋によると、ウエストは数年前から、手元の資金が本来あるはずの金額を下回ることがしばしばあったという。プロジェクトにコストをかけすぎたり、必要な資金は後援企業が前払いしてくれる場合でも多額の自費を投じたりしていたことが原因とされる。
だが、ウエストが現状から脱却する方法はそう難しくはない(本当に借金を抱えているなら、だが)。コンサ―トツアーを行うことだ。最近では、ミュージシャンたちの主要な収入源はツアーになっている。興行専門誌「Pollstar」によれば、ウエストの興行収入は1晩で平均110万ドル。売り出すことができる新プロジェクトもある。経費を抑えてコンサートツアーを行えば、わずか数か月のうちに数千万ドルを銀行に預けることができるだろう。
ただ、ウエストはツアーが苦手なのかもしれない。2013年初め以降、コンサートの回数は78回にとどまっている。もうける必要がないジェイ・Zの91回より少ない数だ。
そのほか、蒸留酒世界最大手の英ディアジオや台湾のモバイルメーカーHTCと組んだディディや、投資会社カーライルとドレ―の例にならってブランド商品をつくるという手もある。
間違いなく、ウエストは富豪の慈善事業に頼らなくても自ら財政状況を立て直す力を持っている。そして、賢明の策は自分自身でその機会を作り出すことだ。
少しはそれを理解し始めているのかもしれない。ウエストは15日、「 (金もうけの)第一の規則は、他人の金を使えということだ。彼ら(金持ちたち)はそれを分かっている」などとコメントした。