調査機関ピュー・リサーチ によると、ニュース閲覧をフェイスブックやツイッター経由で行う米国人の割合は2015年に63%。2013年の50%から13%上昇した。平均的アメリカ人は一日に1.5時間をソーシャルメディアに費やし、一月あたり20時間をフェイスブック上で過ごす。
ユーザーらを一日に数十秒滞在させるだけでも、巨額なビジネスになる。代表的なところでは、バズフィードが一日に36秒、VICEは16秒、Voxは17秒間、各ユーザーが閲覧している。この数値をはるかに上回るのがフェイスブックなのだ。
ニュースパブリッシャーは、フェイスブックやグーグルへの依存をさらに強めているが、供給源を数社に集中させることは、どんなビジネスにとってもリスクとなる。パブリッシャーらはこの状況を慎重に考える必要がある。
Parsleyが400のメディアを調査したところ、昨年7月以来、参照元のトップはグーグルからフェイスブックに置き換わり、その差はますます開きつつある。
ニュースサイトDIGIDAYの記事によると、インスタント・アーティクルズに参加した30社のサイトでは、2015年初頭から10月までの期間で、自社サイトへの誘導率が32%低減したという。このデータの出典元はSimpleReachで、調査方法が不適切だという指摘もあがっているが、SNSやメッセージングアプリの存在感が高まる中で、インスタント・アーティクルズが巨大な力を持ちつつあることは確かだ。
パブリシャー側がとれる対抗手段は二つある。トラフィックの供給源の多様化と、自社サイトを直接訪問してくれるロイヤルユーザーを増やすことだ。ピュー・リサーチの調べでは、サイトに直接訪問するユーザーはフェイスブック経由のユーザーよりも、滞在時間が長くエンゲージメントが高いことが報告されている。
ニュースパブリッシャーがフェイスブック依存を高めていくことは危険だ。メディア企業はフェイスブックからのトラフィックを、自社サイトのロイヤルユーザー獲得に繋げる必要がある。
それが果たせないとしたら、メディアたちはかつてグーグルのSEO対策に明け暮れた時代と同じ苦しみを味わうことになる。グーグルのアルゴリズム変更は幾多にわたる企業らに死をもたらした。
同じことがフェイスブックでも起こるだろう。オープンウェブを推進するグーグルとは違い、フェイスブックは可能な限り、トラフィックを自社のエコシステムの中にとどめおきたい欲望を持っている。――それは、同社の株主らにとっては非常に喜ばしいことなのかもしれないが。