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税金に関する記事を中心に執筆 モットーは「厄介な税金、知れば有益」

       

C Flanigan / gettyimages

#GivingTuesdayというのをご存じだろうか?とりわけ先日の火曜日は多くの人々が慈善団体への寄付をしたい衝動に駆られたかもしれない。Facebook のマークザッカバーグCEO が慈善事業への450億ドル(日本円で5兆5,000億円超)の寄付する意向を表明したのだ。

ザッカーバーグ氏と妻のプリスチラ・チャン氏は、夫妻の娘マックスにあてた手紙をFacebook上に公開し、人々の心に響く文面を綴った。

すべての親が子に望むように、私たちはあなたに今日よりもっと素晴らしい世界で育っていってほしいんだ。だから、そんな世界を実現するために、私たちはできることをやっていく。そうするのは、私たちがあなたのことを愛おしく思っているからという理由だけではなくて、親として次の世代に対する責任があると思うんだ。

そしてザッカーバーグ夫妻はこう約束した。

私たち夫婦に与えられた使命を果たしていくために、生涯をかけて段階的に私たちが保有するFacebook株式の99% - 時価総額でおよそ5兆5,000億円相当 – を寄付します。これまでに多くの人が慈善活動に取り組んでいることを考えると、今回の私たちの決断はほんの小さな貢献だということはよくわかっています。でも、私たちは他の多くの方々と肩を並べて、できることをやっていきたいのです。

夫妻は今後数ヶ月のうちに詳細を公表するとしたが、「次世代の子どもの潜在能力を高め機会の平等を目指すチャン・ザッカーバード・イニシアティブ」については言及しなかった。彼らの慈善事業の一環として最初に力を入れて取り組む課題は、個性に適応した学習や病気の治療、人々が強く結びついたコミュニティの創生など、手紙の中で夫妻が挙げた内容になりそうだ。

ザッカーバーグ夫妻がこのような高額の寄付するのはこれが初めてというわけではない。以前にも、学校やNPOへ多額の寄付をしたことがある。そのうちの一つ、EducationSuperhighwayは、アメリカの公立学校の教室すべてにインターネットアクセスを広げることでどの子どももデジタルラーニングの恩恵を受けられることを使命に掲げるNPO団体だ。

このような高額寄付にかかわらず、夫妻の資産は群れを抜いている。Forbesの最も稼ぐアメリカの企業家ランキングの40歳以下の部門で、保有資産468億ドル(日本円で約5兆円)のザッカーバーグ氏は現在首位を固めている。全体でもビリオネア部門で16位、Forbes 400 ランキングでは7位だ。


ところで、この規模の寄付では、米国での課税所得控除の問題がつきまとう。慈善活動への寄付に対して課税所得控除を受けられるのは、寄付の総額が調整後総所得(AGI)の50%以下までだ。450億ドルを45年間で段階的に寄付し続けるとして、1年あたりの寄付額10億ドル(日本円で約1,220億円)は、さすがのザッカーバーグ氏にしてみてもAGIの50%を超える可能性があり、そうなると課税所得控除の申告に制限が出てくることになる。

問題はそれだけではない。米国で高額納税者が控除を受ける場合には、高額納税者からの税収を確保するPease Limitationsという壁が立ちはだかる。2015年度にPease Limitations が適用されるのは、既婚の場合、年収309,900ドル(日本円で37,800,000円)以上の納税者が対象だ。その上限を超える納税者は、控除対象を除くAGIの3%もしくはItemized deduction(控除項目) の80%のいずれか少ない方が控除額となる。

Pease Limitations は慈善活動への寄付や、住宅ローンの金利、州税や地方税など様々なitemized deductionsが対象となる一方、医療費や投資、賭博での損失、予期しなかった損失などへは適用されない。慈善活動への寄付については、寄付対象となる組織や事業目的、資産益などによってその他の制限が適用されることもある。

そう、ここで出てきた資産益というのが、単に慈善活動に対する控除という意味合い以上の節税効果をもたらすのだ。なぜなら慈善活動へ資産を寄付することによって、資産益に対する税金を支払わなくてすむからだ。

からくりはこうだ。たとえばあなたが保有する株式のうち1,000ドルを慈善活動へ寄付するとしよう。あなたがその株を当初100ドルで購入したとして、もし寄付をする前にその株を売ってしまったら、1,000ドルが手に入るが900ドルの資産益に対して納税義務が残る。仮に税率が20%なら、180ドルは税金に消えるわけだ。もしあなたがその税金を納めた後で寄付をしたとしたら、寄付される側は820ドルを受け取り、あなたも820ドルの控除を受けることになる。

でも、もしあなたが1,000ドルの株式をそのまま慈善活動へ寄付したとしたらどうだろう?その場合、あなたは資産益にかかる税金を払わなくてよいだけでなく、1,000ドルの控除を受けられる。寄付を受けた慈善団体も、1,000ドルの株式をそのまま売ってしまえば資産益にかかる税金を納めなくてよく(慈善団体は資産益に対する納税の免除対象)、1,000ドルが手元に残る。寄付する側もされる側も、win-winの結果になるのだ。

ここで、ザッカーバーグ氏が公表した5兆5千億円相当の株式の寄付について考えてみてほしい。どれだけ多額の節税につながるかは明白だ。このシナリオのよいところは、億万長者だけでなく、すべての納税者に当てはまるという点だ。

ここまで述べて、今回のザッカーバーグ氏の行動から学べることは何だろう?第一に、大学を卒業しなくてもビリオネアになれるということ。第二に、子どもができると世の中のあらゆるものに対する視点が完全に変化するということ。そして最後に、慈善活動へ寄付することは、世の中に変化をもたらすだけでなく、あなたの納税負担を減らす究極の方法だということだ。ザッカーバーグ氏に刺激を受けたなら、今日からでも始めてみてはいかが?

編集 = Forbes JAPAN 編集部

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