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経済

2025.04.19 10:00

データセンターの比率に見る各国の米中との結びつき 「兵器化」リスクも

Shutterstock.com

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クラウドコンピューティングの登場により、サーバーやデータストレージといったネットワーク機器は、企業など組織が自前で持つものから、外部の「インフラ」を借りるものへと位置づけを変えた。この広範な変化に伴っていろいろな影響が生じているが、なかでも重要な問題は、そのインフラを所有・管理しているのがどの企業か、もっと言えばその企業がどこの国の企業かという点だ。

クラウドコンピューティングやデータセンサーの分野は現在、米国と中国の企業によって支配されており、第三国のデータの安全性と独立性をめぐって懸念が生じている。第三国の多くは米国企業や中国企業のデータセンターを受け入れていて、そこにデータやアプリケーションを保管しているからだ。市場の主要プレーヤーは、米国のアマゾン、マイクロソフト、グーグル、中国のアリババ、華為技術(ファーウェイ)、騰訊控股(テンセント)である。

英オックスフォード大学のヴィリ・レードンヴィルタ教授らのチームは、米中の各大手3社による世界でのアベイラビリティー・ゾーン(独立性の高い大規模データセンター群、AZ)の設置数を調べ、各国での米国勢のAZと中国勢のAZの割合を導いた。

それによると、イタリアやポーランドを含む欧州数カ国、イスラエル、湾岸諸国のカタールとバーレーンなどでは中国企業のAZがなく、米国企業の割合が100%だった。カナダでも中国勢のAZの割合は8%程度と低く、アラブ首長国連邦(UAE)では約14%、オーストラリアでは17%、韓国では22%(編集注:日本も同じく22%ほど)、ブラジルでは25%とやや上がってくる。英国、フランス、ドイツ、オランダといった欧州諸国でも米中企業のAZが混在し、中国勢は最大40%ほどを占める。

中国勢の比率は中南米諸国やアジアのほかの国ではさらに高くなり、チリでは40%、シンガポール(55%)やインドネシア(57%)では半分を超える。アルゼンチン、メキシコ、ペルー、タイ、フィリピン、マレーシア、サウジアラビア、トルコでは米国勢のAZが置かれておらず、中国勢の割合が100%となっている。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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