経済

2025.04.19 10:00

データセンターの比率に見る各国の米中との結びつき 「兵器化」リスクも

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この研究では、中国勢の比率がかなり高くなっている国々は価格の手頃さを求めていると分析しているほか、一部の国は中国式の統制されたインターネットモデルを選好している可能性があるとの見解を示している。論文は学術誌『Review of International Political Economy』に掲載されることになっている。

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理論的には「兵器化」が可能

各組織はデータをホストするクラウドプロバイダーを世界中から選ぶことが可能だが、実際は多くの組織が自国内か近隣のインフラを使っている。政府や企業の方針で、国内もしくはその他の管轄区域内にあるデータセンターの使用が定められていることが多いためだ。

たしかに、こうした措置にはデータセンターに対する法的手段の確保の面でメリットがある。しかし、使用されている技術の所有権や原産国をめぐっては依然として懸念がつきまとう。こうした懸念はこれまでは主に中国に向けられてきたが、現在のドナルド・トランプ米政権による外交政策の影響で、今後は米国にも向けられる可能性がある。

論文では、このような所有構造により、クラウドインフラは理論的には「兵器化」される可能性があると警告している。完全に遮断される可能性は非常に低いとされるが、仮にそうなればきわめて広範囲に影響が広がると著者らはみている。多くの職場や公共機関はもちろん、たとえば銀行のアプリケーション、スマートホーム機器、宅配倉庫なども影響を受けるおそれがある。

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この研究は、ある第三国が米中どちらのクラウドインフラに主に接続しているかは、二国間通商関係の緊密さの程度だけでなく、当該国政府の戦略的判断も関係していると結論づけている。とはいえ、こうした技術の所有国側も、クラウド分野での自国企業の海外進出を後押ししてきたのは確かだ。

欧州の政府は中国や米国のプロバイダーへの不信感から「クラウド主権」を目指してきたが、これまでの取り組みは非効率だったと評価されている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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