米ロサンゼルスで開催された2025年の「フリーズ・ロサンゼルス」は、まさに最適なタイミングで実施されたといえる。年初に発生したパシフィック・パリセーズ地区とイートン地区の大規模な火災が鎮静化した直後の「アート」や「商売」のためのフェアは、「適切なのか」と疑問視する人も多かった。見送られたとしても、無理はなかっただろう。
だが、結果としてその開催は、クリエイティビティと才能、そしてロサンゼルスのアートシーンの活気を維持するために、まさに必要なものだったことが明らかになっている。
フェアは今回、規模を縮小して行われた。出展者が減り(すべてが1張りのテントの下に集められ)、スポンサー企業の数も減少、(通常は最も混雑する)VIP向けのプレビューの日は過去2年に比べ、特に大幅に客足が減少した。
これらはすべて、火災が及ぼした懸念すべき変化だといえる。だが、同時にいずれも、結果としては良いことだったと考えることもできる。それは、今回はこれまで以上に目的意識の高いフェアになったといえるからだ。
出展者たちは、ベテランのアーティストたちの貴重な作品だけでなく、若手アーティストの新作も展示した。来場者たちは、見たり見られたりするためではなく、購入する目的でフェアを訪れた。ギャラリーの規模の大小や古い、新しいにも関わりなく、おおむね売り上げは好調で、完売したブースも多かった。
こうした状況がもたらされた背景には、いくつもの要因がある。所有していた作品を火災で失い、コレクションを築き直そうとしている人もいただろう。被災したアーティストや業界関係者を支援したいという人も、ロサンゼルスに対する支援の気持ちを表したいという人もいただろう。いずれも、フェアの会場に足を運ぶ理由になる。
だが、結局のところ、重要なのは展示された作品だ。出展する人、展示される作品、そして適切な価格と、適切な購入者だ。以下、今回のフェアで特に注目した作品のいくつかを紹介したい。
注目のギャラリー&作品
・リッソン・ギャラリー:キャロリー・シュニーマンやチャンナ・ホーウィッツなど、今は亡きアーティストたちの作品が再び注目されるのは嬉しいことだ


・ハウザー&ワース:アンベラ・ウェルマンなど、これまで知られていなかった(少なくとも私は知らなかった)アーティストのいずれも印象的な、対照的な作品が紹介された

・グラッドストーン・ギャラリー:ロバート・ラウシェンバーグが小さなキャンバスに描いた4作品に加え、ベティ・サールの作品を展示(98歳のベティは、娘のアリソン・サールとL.A.ルーバーのブースを訪れていた)
・ナザリアン/カーシオ:伝統的な女性の描き方を覆すような、サマー・ウィートの作品を出展。織物のようにも見えるその絵画は、手のかかるプロセスを経て完成させたものだ
