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北米

2025.04.17 15:00

ベゾスの声で「金持ちに課税するな」、シアトルの信号がハッキングされ偽メッセージ再生

ジェフ・ベゾス(Michael Kovac/Getty Images for Breakthrough Prize)

ジェフ・ベゾス(Michael Kovac/Getty Images for Breakthrough Prize)

米ワシントン州シアトルの一部の地域で4月16日、歩行者用の信号機がハッキングされたと報じられた。出勤途中の人々が、信号機のボタンを押すと、世界で2番目に裕福な男の声が聞こえてきたのだという。

その音声は、「こんにちは、ジェフ・ベゾスです」という人工知能(AI)で生成したと思われるメッセージで始まり、「この横断歩道は、Amazon Primeの提供で運営されています。大事なお知らせがあります」と続き、さらに、「どうか、どうか金持ちに課税するのをやめてください。さもないと、他のビリオネアたちもみんなフロリダに引っ越してしまいますよ」と言ったという。

このメッセージは、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾスが最近フロリダに居住地を変更し、それによって推定10億ドル(約1430億円)の税金の支払いを回避したことを揶揄したものだと思われる。推定保有資産が1910億ドル(約27兆2000億円)とされるベゾスは今週、シアトルの家を6300万ドル(約90億円)で売却したと報じられたばかりだ。

「もし、金持ちがみんなシアトルから出て行ったり、ユナイテッド・ヘルスケアのCEOみたいに殺されたりして、この町が普通の人が住める場所になったとしたら、最悪だと思いませんか?」とこのメッセージは結んだ。

シアトルの人口の増加率は、2010年から2020年にかけて全米平均の約3倍となる21%を記録したが、その結果、この町の生活コストは急激に上昇している。不動産サイトRent.comのデータによると、現在シアトルの1ベッドルームのアパートの平均家賃は月額2200ドル(約31万4000円)で2ベッドルームでは約3000ドル(約42万8000円)となっている。

今回のメッセージは、ワシントン大学近くの信号機でフォーブスの記者が確認した。また、市内の他の場所にある横断歩道でも同様の現象が起きていたと報じられている。さらに、こうしたハッキングは、今週初めにカリフォルニア州北部の各地でも報告されていた。

BBCが報じたところによると、シリコンバレー各地の横断歩道では、イーロン・マスクやマーク・ザッカーバーグらの声を模した音声が流されたという。ベイエリアでは、「こんにちは、イーロン・マスクです。ここパロアルトはテスラ・エンジニアリングの本拠地です。お金で幸せは買えないって言うけど、まあ、そうかもね」という声が聞こえてきたという。

シアトル交通局は事件後の声明で「市内の数カ所の信号機のボタンがハッキングされた件で、当局が対策を講じている」と述べている。

「横断歩道の音声案内は、視覚に障害を抱える人々が、道路を安全に横断できるようにするための重要な役割を担っている。私たちは、このような政治的主張のために、人々の安全を脅かす行為を容認しがたいと感じており、今後のハッキングを防ぐためにより強固なセキュリティ対策の導入を検討する」と同局は述べている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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