【重要なお知らせ:当社を装った偽サイトにご注意ください】

ビジネス

2025.04.17 09:00

苦境に陥る高級品市場、仏LVMHの販売不振は「短期的」との見方も 回復の鍵は?

仏高級ブランド、ルイ・ヴィトンのイタリア・ミラノ支店(Getty Images)

仏高級ブランド、ルイ・ヴィトンのイタリア・ミラノ支店(Getty Images)

仏高級ブランドグループ、LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンの第1四半期の売上高は203億ユーロ(約3兆2800億円)で、前年同期比3%減少した。2%増との予測を大きく下回り、投資家に衝撃を与えた。

米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、LVMHの株価は8%下落し、同社は一時、世界で最も価値のある高級品企業の座を仏高級ブランドのエルメスに明け渡した。これを受け、プラダ、サルヴァトーレ・フェラガモ、ケリング、リシュモン、ブルネロ・クチネリといった競合他社の株価も軒並み下落した。

フォーブスは、LVMHのベルナール・アルノー会長兼最高経営責任者(CEO)の資産が90億ドル(約1兆2800億円)減少して1465億ドル(約20兆7700億円)になったと推計している。だが、同会長は依然として欧州一の富豪の座を維持しており、フォーブスの「世界長者番付」でも6位に君臨している。

米金融大手シティグループのアナリスト、トマ・ショーベとマヘシュ・モハンクマールは投資家向けメモの中で、LVMHの今期の決算は「今後の決算に負の気運をもたらした」との見方を示した。さらに、同社の決算説明会では、差し迫った米国の関税リスクをいかに緩和するかについての説明はほとんどなかったと指摘した。

多方面で露呈するLVMHの販売不振

LVMHの中で売上の落ち込みが最も大きかったのはワイン・スピリッツ部門で、前年同期比9%減の13億500万ユーロ(約2100億円)だった。同部門は関税を巡る不確実性のほか、米国と中国でコニャック需要が弱まっていることにより、特に打撃が大きかった。

だが、これよりはるかに規模が大きく、LVMHの主力事業であるファッション・皮革製品部門の売上高も同5%減少し、101億800万ユーロ(約1兆6300億円)となった。同部門の主力ブランドには、ルイ・ヴィトン、ディオール、ロロ・ピアーナ、フェンディなどが名を連ねている。

LVMHの2番目に大きな部門である小売部門の売上高は同1%減の41億8900万ユーロ(約6800億円)だった。香水・化粧品部門も同1%減少し、21億7800万ユーロ(約3500億円)となった。一方、ティファニー、ブルガリ、タグ・ホイヤーなどの時計・宝飾品部門は前年同期比で横ばいだった。

地域別で見ると、売上高が世界全体の2割強を占める欧州のみが前年同期比2%の伸びを記録した。しかし、全体の約3分の1を占める世界最大の市場であるアジア(日本を除く)は同11%落ち込み、全体の約4分の1を占める米国も同3%縮小した。一方、世界の売上高の9%を占める日本の減少幅は同1%にとどまった。

次ページ > アナリストが示唆するLVMH回復の鍵は?

翻訳・編集=安藤清香

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事