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バイオ

2025.04.23 08:15

勘に頼らず「脳」が選ぶヒット商品、香りの指標化で市場激変

Getty Images

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香りとは漠然としたもので、自分が好きな香りを明確に表現できることは少ない。しかし自分では意識していなくても心地よいと感じる香りは確実にある。それを脳活動から読み取り、商品開発に活かそうという研究が行われている。

人の購買行動には「好み」が大きく影響するが、そこには単なる好き嫌いとは別に、多くの人に共通する潜在的な「好み」が存在する。事実、商品の画像を見たとき、楽曲を聴いたときの人々の脳の活動を測定し、多くの人の潜在的な「好み」を読み取ることで、その売り上げを予測する研究が進められているが、NICT(情報通信研究機構)とライオンは、それを香りに応用できないかと共同研究を開始した。結果は上々だ。

研究グループは、柔軟剤の香りを重視する25人の女性を対象に実験を行った。まず、それまで誰も使ったことがない3種類の柔軟剤の香りを嗅いでもらい、脳活動を測定。同時に、主観的な好み(好きか嫌いか)も尋ねた。それから2週間にわたり、3種類の柔軟剤を自宅で2回ずつ使ってもらい、いちばん気に入ったものをひとつ選ばせた。

主観的な好みから予測でした結果は、的中率が50パーセントだった。五分五分ということは適当に選んでも同じということで、予測は失敗となった。それに対して、脳の報酬系と一次嗅覚野の活動から割り出した予測は的中率が60パーセントと有意な結果となった。脳活動には「主観的な評価には表れない潜在的な好みが反映されている」ことが示唆されたと研究グループは話している。

この研究では、25人の脳活動データをもとにした集団の予測モデルを使用した。これをさらに拡大すれば、個人のバラツキを抑えた汎用的なモデルを作ることができる。そうなれば、製品開発に役立てられるということだ。

今後は予測精度を高め、より信頼性の高い香りの指標作りを目指すという。これは不特定多数を対象とした商品開発のための研究だが、数多くの香りのなかから自分にピッタリのひとつを選ぶ指標として使えば、個人を対象にした商品展開にも応用できるはずだ。本当に自分に合った香りを探し続けている人には、待ち遠しい話だろう。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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