経済・社会

2025.04.11 17:15

日本開催のワールドオーシャンサミットで石破総理が話した重要なこと

3月12日と13日、第12回「ワールドオーシャンサミット(WOS)」が東京のANAインターコンチネンタルホテルで開催された

3月12日と13日、第12回「ワールドオーシャンサミット(WOS)」が東京のANAインターコンチネンタルホテルで開催された

トランプ政権下、世界が不穏な変化に直面している。海洋環境問題を牽引してきた米国のNOAA(海洋大気庁)も予算と人員の削減に遭い、時計の針が逆戻りさせられるなか、関係者が続々と抗議の声を上げている。

折しも今年2025年は国際海洋会議が目白押しの年だ。

直近では、3月12日と13日に東京で開催された「ワールドオーシャンサミット」、4月28日から30日に韓国の釜山で開かれる「アワーオーシャンコンフェレンス」、同じく10年ぶりに釜山で開催される「APEC海洋大臣会合」(4月30日から5月1日)などがある。

また6月9日から13日までフランスのニースで3年に1度の「国連海洋会議」も開催される。その前段の準備会議として、2月24日から27日までソロモン諸島の首都ホニアラで「国連ホニアラサミット」も開催された。 

これに加え、フランス政府主導の「SOSOCEAN」や、より専門的な会議として例えば学術会議である「国連海洋科学会議」、サプライチェーンのビジネスチャンスを探る「北米シーフードエキスポ」やスペインのバルセロナで開催される「シーフードエキスポグローバル」なども含めると、かなり「忙しい」年となりそうである。

このように、海洋環境や海洋経済発展に責任を果たそうとする世界のリーダーたちは、時計の針を未来へと進めているのだ。

これほどメジャーな海洋会議の重なる年はそうそうない。そのなかでいかに日本が国際社会での存在感を示し、水産資源やブルーエコノミー、幅広い海洋資源の利用をはじめとした海洋戦略でリーダーシップを取れるかは、勝負どころのはずだ。私もNGOとして前述の主な会議には参加する予定である。そこで、それらの国際海洋会議の模様と果たすべき日本の役割についてレポートしていきたいと思う。

10の海洋の重要なテーマ

3月12日と13日に第12回の「ワールドオーシャンサミット(WOS)」が、東京のANAインターコンチネンタルホテルで開催された。

これは英国の名門経済誌「エコノミスト」が毎年主催している海洋会議だが、私は2015年のポルトガルのリスボンで開かれたこの会議に初めて参加した。そのとき日本人は現地の日本の大使を合わせても数名しか参加しておらず、存在感は皆無に近かった。

日本は海洋戦略において重要国であり、主催者側からも日本人を連れてきてほしいと毎年のように頼まれるのだが、海外での国際会議となると、渡航費や参加費に加えて、言葉の壁もあり、ハードルが高いのも事実だ。

そこで、私の親しい友人でワールドオーシャンサミットの生みの親でもあるエコノミストのチャールズ・ゴダール氏を中心に日本での開催が模索され、今年、満を持しての開催となったのだ。

「ワールドオーシャンサミット」の生みの親でもある「エコノミスト」のチャールズ・ゴダール氏
「ワールドオーシャンサミット」の生みの親でもある「エコノミスト」のチャールズ・ゴダール氏

この会議の目的は、海洋生態系のすべての利害関係者が一堂に会することで、「ブルーエコノミー」と呼ばれる海洋の持続可能な利用による経済発展をもたらし、国連SDGs14「海の豊かさを守ろう」の2030年目標達成に向けた新たな相乗効果や解決策、戦略を鼓舞する絶好のプラットフォームを提供することだ。

そして、2025年6月に開催される国連海洋会議に先立ち、アジアからの参加者が世界の海洋コミュニティと関わる重要な機会を提供するものでもあった。

議論は以下の10の海洋の重要なテーマに沿って展開された。1気候変動、2持続可能な海洋経済、3海洋保護区(MPA)、4回復と適応の戦略、5海運の脱炭素化、6持続可能な水産物、7海洋経済、8公害、9海上再生エネルギー、10観光の10のテーマだ。

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